【美とグローバル】ミス・ワールドで聞かれた「美とは何か?」に対する、ひとつの答え

TOHOKU360特別連載「美とグローバル」:2016年ミスワールド日本代表に輝いた、吉川プリアンカさんの連載コラム。アメリカ・インド・日本の三か国で育った国際的な経歴を持ち、現在インドの映画産業ボリウッドへの進出を目指す彼女が、独自の視点で「美」の世界を描きます。

(写真提供:株式会社LA DITTA)

「あなたにとっての美とはなんですか?」

私は父がインド人で、母が日本人のハーフとして東京で産まれた。幼少期は東京、カルフォルニア州サクラメント、インドのコルカタで過ごした。今振り返ると、三ヶ国で暮らした経験は、私を文化や人々の違いを受け入れやすくし、柔軟性を育ててくれた。数年たった今、私は再びインドを訪れている。理由は、ボリウッド進出のためである。もう少し自己紹介をすると、昨年の9月にミスワールド日本代表に選ばれ、同年の11月26日~12月18日までワシントンDCで開催された世界大会に参加した。

ミスコンに出ると、不思議と、「あなたにとっての美とはなんですか?」のような、美に関しての質問を多くのメディアから受けるようになった。私は気になると追求する性格なため、自然と美についてよく考え始めた。一般的によく聞く答えは、「美とは外見ではなく、内面美である」などの、外見と内面を含むもの。確かに、内面美は重要であり、外見とは内面の一番外側に存在する。だから、内から出る美とは一理あるのだろう。内面が外側に出て、外から内面にも繋がる。この二つは比例していて、別々の美ではない。でも、美とはもっとシンプルに、私たちの土台にある、きっと何かそのようなものだと、そんな疑問を持ちながら、生活をしていた。

まったく笑わない男性に出会って

そんな中、インド滞在中にこんな経験をした。まったく、笑わない2人の男性に会ったのだ。歳は30代後半から40代前半あたり、オフィスは立派な高層ビルにあり、真っ白なシャツに黒い細身のスーツを着ていた。私は、水色のコンサバよりのワンピースを着ていた。笑顔で名刺をお渡しし、自己紹介をした。スモールトークをし、難しい話は一切していない。お二人からも名刺を頂いたが、真顔だった。私が笑顔に対して、相手は真顔。これは返答がないのと一緒なのでは無いだろうか。30分くらい会話をし、あまりメモを取る内容もないが、メモを取っている方は紙とにらめっこをして、口角は下がりっぱなしだ。正直もう2度と会いたくないと感じてしまった。

難しい話の場でもないのに、一つの笑みも浮かべないというのは、私には違和感でしかなかった。でも、きっと普段の生活の中でも、私は笑わない人に出会っているのだろう。ただ気に留めず過ごしていたから、何も深く考えず、気がつかなかったのだ。インドでは、仕事関係の方々を始め、街中の出店の方や、力車のドライバー、ホテルの従業員、朝ご飯を食べるカフェの店員さん、ただすれ違う人まで、皆元気で、直球で、笑っていた。その中でも、特に私のマネージャーはずっとニコニコしている。このような方々に囲まれて生活している中で、笑わない人に出会ったから気がつけたのだ。

自身に与えられた環境に感謝をし、向き合い、その中で幸せを見つけ、感じる。笑う人とは、インドでだからとかではなく、共通して惹かれる人の特徴なのではないだろうか。心が踊り、喜びを感じ、それは笑顔となって表現される。悲しみは涙として流れ、私たちを浄化する。困っている人がいたら、手を差し伸べる。そして愛を選択して生きる。世間が作り上げた美しさの基準が何かよりも、自然体に、自由に、もっとも人間らしく、愛を持って生きる姿こそが芯の「美しさ」であり、万国共通するグローバルの美なのではないだろうか。


*吉川プリアンカ
2016年ミスワールド日本代表。インド人の父と日本人の母の間に生まれ、アメリカ・インド・日本の三か国で育つ。現在株式会社LA DITTAに所属し、インドの映画産業ボリウッドへの進出を目指している。

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