日本映画なく寂しいコンペ部門/第68回ベルリン国際映画祭報告(1)

【齋藤敦子(映画評論家・字幕翻訳家)】第68回ベルリン国際映画祭が2月15日から25日まで開催されています。今年はコンペティション部門に日本映画がなく、日本的には寂しい年になりましたが、それでもオープニングのウェス・アンダーソン監督『犬ヶ島』は日本が舞台の人形アニメーション。声の出演をしたティルダ・スウィントンやグレタ・ガーウィグらに混じって、日本から夏木マリさん、野田洋次郎さんらもレッドカーペットに登場。また同夜、パノラマ部門のオープニングとして『リバーズ・エッジ』が上映され、行定勲監督と主演の二階堂ふみさん、吉沢亮さんもレッドカーペットに登場しました。『リバーズ・エッジ』は副会場のシネマックスで3スクリーンを使って上映され、全回満席という人気ぶりでした。

日本映画は他に、パノラマ部門で黒沢清監督『予兆 散歩する侵略者劇場版』、フォーラム部門で想田和宏監督の観察映画『港町』、昨年のPFFアワードグランプリ受賞作の清原惟監督『わたしたちの家』、山中瑤子監督『あみこ』、青少年を対象としたジェネレーション部門で富名哲也監督の『Blue Wind Blows』などが上映されます。

 また、クラシック部門で小津安二郎の『東京暮色』のデジタル修復版が、フォーラム部門で、ピンク映画の製作会社国映の専務で、朝倉大介名義で1000本あまりの作品を製作してきた佐藤啓子さんにトリビュートを捧げ、大和屋竺監督『荒野のダッチワイフ』、足立正生監督『噴出祈願15歳の売春婦』、周防正行監督のデビュー作『変態家族 兄貴の嫁さん』の3本が4Kでデジタル修復されて上映されるのも話題です。

 今年の審査員は、映画監督のトム・ティクヴァ、女優のセシル・ド・フランス、映画音楽家としても有名な坂本龍一ら。授賞式は25日の日曜日に行われます。

 写真は、パノラマ部門のオープニング上映後のQ&Aで会場からの質問に答える行定監督、二階堂ふみさん、吉沢亮さんです。

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