【佐藤和文=メディアプロジェクト仙台】地域密着と市民参加を掲げているコミュニティ放送局(FMラジオ)を聴いたことはありますか?大手のラジオ放送に比べて電波が届く範囲は狭いのですが、インターネットを利用できれば世界中どこでも聴けるようになっています。最大の特色はいわゆる自社制作番組です。地元の人々が進行役(パーソナリティ)を努めるせいか、親しみやすさに満ちた空気感が伝わってきます。百万都市仙台の副都心といわれる長町地区にスタジオを持つ「エフエムたいはく」を訪問しました。





百万都市仙台の副都心。長町地区に拠点を置くエフエムたいはく。大小2つのスタジオから番組を配信する。生番組はここからほど近い場所にあるサテライトを使っている。

充実する自社制作番組

仙台市太白区の人口は22万6千人。仙台市の総人口のほぼ5分の1を占めています。エフエムたいはくは長町3丁目、国道4号沿いにありました。近くにはJRや仙台市地下鉄、市バスの駅があります。長町駅に直結する再開発ビル「たいはっくる」には、地域文化の中心となる多目的ホール「楽楽楽(ららら)ホール」があります。仙台市立病院のほか、建設中の高層マンションや大型商業施設もあり、江戸時代からのまち並みを残すユニークな副都心として急成長している地域です。

エフエムたいはくは2007年9月29日に開局しました。FMたいはくの1週間の番組を制作形態ごとに色別に並べた「タイムテーブル」は、自社制作であることを示す緑色一色に見えます。他の放送局と比較する目安はないのですが、エフエムたいはくの自社制作率が高いのはひと目で分かります。

自社制作の番組が多いため一面緑色のタイムテーブル

地域密着と市民参加を具体的な形で

エフエムたいはく開局直後は、出演者に決まった謝礼を支払うケースもありましたが、コミュニティ放送に共通する財政状況の厳しさを踏まえて、今では、昼の時間帯の生番組でも、謝礼はなし、交通費のみ支払う原則が出来上がっています。

番組ごとに決まったパーソナリティが活躍しています。エフエムたいはくのスタッフがパーソナリティと話し合いながら編集作業を担当し、番組に仕上げますが、パーソナリティのなかには、収録から編集まで一切を自分で行う人もいます。自社制作が多い点も含め、コミュニティ放送の特徴である地域密着と市民参加を具体化しつつあるメディア現場といえるでしょう。

コミュニティ放送局を支える資金源としては、年末年始の祝賀広告など、工夫を凝らして取り入れている企業とのタイアップによる広告収入が全体の7割程度を占めていますが、パーソナリティの中には、さまざまな形で一定額を自分で負担し、コミュニティ放送の財政を支えるケースもあります。欧米に伝統的な無償のボランティアの形を一歩進め、新しい形の市民参加を模索しているようにも見えます。【続く】

佐藤和文】1951年生まれ。仙台市出身。東北大学法学部卒。一般社団法人「メディアプロジェクト仙台」代表。「東北」を報道理念に掲げる河北新報の記者・編集者として20年間過ごした。仙台本社以外では、青森県三沢市、東京、宮城県古川市(現大崎市)の支局取材を担当した後、後半の20年はインターネット分野の責任者に。メディア局長としてデジタル戦略を立案、地方に由来するメディアのウェブ報道の在り方やSNS、ブログツイッター、などソーシャルメディアの活用に取り組んだ。2011年3月11日に発生した東日本大震災のウェブ報道を指揮。2014年に「メディアプロジェクト仙台」を設立。公式ブログ「Web日誌2.0」は河北新報時代のウェブコラム「Web日誌」の名称を引き継いでいる。http://www.media-project-sendai.com/





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