「フォーラム仙台」開館20周年に 支配人に聞く、映画を映画館で観る楽しさ(後編)

1999年12月にオープンし、今年の12月でちょうど20周年を迎える映画館、フォーラム仙台。そして2004年にオープンし、15周年を迎えたチネ・ラヴィータ。どちらもメジャーな作品からアート系の作品までバランス良く上映する映画館として知られ、多くの映画ファンが利用しています。映画館支配人として21世紀の仙台の映画文化を支えてきた橋村小由美さんに、フォーラムの歴史、映画館運営のあれこれ、そして映画館で映画を観ることの意義について、お話を伺いました。

仙台で珍しかったアジア映画を上映、連日満員大ヒットに

20周年を迎える「フォーラム仙台」

大学生時代からフォーラム・ネットワークに関わっていた橋村さん。バイトをしていた当時、代表から「せっかくだから、自分が苦手な映画を見なさい」と言われ、そのころ山形フォーラムでやっていた「中国映画の全貌」という特集上映でチャン・イーモウ監督などの作品を見て、中国映画に開眼。また、ジョン・ウー監督のアクション映画などにもこの頃に出会い、それ以降、「香港映画や中国映画などのアジア映画の大ファンになった」といいます。

ところがちょうどフォーラム仙台が開館する90年代末、仙台ではアジア映画を上映する映画館がなかったらしいのです。そして、フォーラム仙台が開館する直前に、東京で見た韓国映画の『シュリ』に感動し、上映を決意されました。開館後の2000年1月から上映したところ、連日満員のロングラン大ヒットとなり、なんと8月まで上映していたとのこと。

上映作品の選定には様々な制約があり、なかなか思い通りのプログラムにはならないようです。そんななかでも、お客さんから「やってほしい」と言われたり、個人的に付き合いのある配給会社からの売り込みがあれば上映したりもしているそう。「いま国内で公開されてる映画って年間1200~1300本近くあって、さすがにそこまでは公開しきれないんです。でも、配給会社さんが苦労して買い付けてくれた作品なんかは、その熱意に報いたい気持ちもあり、上映するようにしています」

もちろん支配人のこだわりで上映するプログラムもあり、例えば90年代の台湾ニューウェイヴの旗手として知られるホウ・シャオシェンやエドワード・ヤン作品の回顧上映だったり、最近は『愛がなんだ』が大ヒットしたことが記憶に新しい、かねてより支配人が推している今泉力哉監督作品の回顧上映を、仙台を舞台にした最新作『アイネクライネナハトムジーク』の公開に併せて開催されました。

「映画を映画館で見る」よろこび

もちろん、映画館経営はビジネス。けれども、配給会社、映画館、そして観客のなかに映画を愛する人たちがいて、そうした人たちの想いやつながりこそが、単なるビジネスにとどまらない「映画文化」を成り立たせていることもまた事実。特にフォーラム仙台やチネ・ラヴィータのような中規模な映画館が持つ映画文化の交流の場としての意義は、NetflixやAmazonプライムのような映画の配信サービスが急速に広まりつつある今日でもまったく変わっていないのかもしれません。

「やっぱり家で映画を見るのと、映画館で映画を見るのとでは、集中の度合いが違いますよね。例えば、『ROMA/ローマ』にしても、実際に映画館で見ると、聞こえなかった音が聞こえてきたり再発見があって、やっぱり家で見るのとは違いましたね」と語る橋村さん。(注:『ROMA/ローマ』は、元々Netflixが制作、独占配信をしていたが、その後に劇場公開となった。)

最近では『バーフバリ』、『カメラを止めるな!』、『ボヘミアン・ラプソディ』などの共感型映画のヒットが続いており、応援上映も大盛況だったようで、同じ映画を他者と一緒の空間で見ることの素晴らしさや、一定の音響空間が保証されている映画館で作品を鑑賞する喜びに、むしろ配信サービスが普及した現在こそ、人々が気付き始めているのかもしれません。

「若い人が映画館に来るようになっていると感じます。映画館の未来はそんなに暗くないと思いますね」とほほ笑む姿が印象的でした。

最後にせっかくなので、今年の暫定ベスト3の映画を伺ったところ、『愛がなんだ』、『The Crossing ザ・クロッシング』、『SHADOW 影武者』とのことでした。唐突に聞いたので未整理のまま答えさせてしまいましたので、変動があるかもしれません。みなさんもぜひ、映画館で直接ベストを聞いてみてください。

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