【写真企画・東北異景⑪】逢魔時の広瀬川を歩く(仙台市青葉区、太白区、若林区)

【写真連載企画:東北異景】自然の摂理は時として思いもよらない景観を生み出す。一方で、人間という社会的動物は欲望のままに巨大な建築物や異様な光景を作り出してきた。あらためて注意深く見回すと、我々の周囲には奇妙で不可思議な風景、違和感を覚える「異景」が数多く潜んでいる。東北の写真家・佐瀬雅行さんが、東北各地に存在する「異景」を探す旅に出かける。

写真・文/佐瀬雅行(写真家)「杜の都」仙台のシンボル、広瀬川は中心市街地の西側から南を縁取るように蛇行を繰り返し、いくつもの橋が異なる景観を作り上げている。緑豊かな河畔には陽光をいっぱい浴びて遊ぶ子ども達の歓声がこだまし、川沿いの遊歩道を散策やジョギングを楽しむ人々が行き交う。初夏のアユ釣り、秋の芋煮会だけでなく、四季を通して市民の憩いの場として親しまれている。

 そんな広瀬川も太陽が沈み、薄明のころになると静寂を取り戻す。日中の暑さも収まり、川岸を吹き抜ける涼風が心地好い。どこからか清流に生息するカジカガエルの美しい鳴き声が聞こえてくる。日没後のソフトで暖かな光に包まれるマジックアワー、そして辺り一面が青い光に照らされるブルーモーメントになると、広瀬川に架かる橋のフォルムが一層際立つ。光と水が織り成す景色は、時として幻想的でさえある。

 梅雨入り前の晴天に恵まれた日々。昼から夜に移り変わる逢魔時に広瀬川を巡り歩いてみた。




マジックアワーを迎えた広瀬川。柔らかな光の中に大橋が淡く浮かび上がる(仙台市青葉区花壇から撮影)

 

大橋は仙台城の大手門と城下町を結ぶ重要な橋として、藩政時代から何度も架け直された。ブルーモーメントの空に映えるアーチ橋は1938年に造られた(青葉区桜ヶ岡公園)

 

青葉山の北側を蛇行する広瀬川に架かる澱橋。随筆家で夫の相馬愛蔵とともに新宿中村屋を創業した相馬黒光は、著書『広瀬川の畔』の中で澱橋上流の河原で遊んだ少女時代を回想している(青葉区川内元支倉)

 

評定河原橋を過ぎると広瀬川は中心市街地に近づく。河岸段丘の上にはマンションが建ち並んでいる(青葉区霊屋下)

 

川岸に降りると、瀬音に混じって「フィフィフィ」というカジカガエルの美声が聞こえてきた(青葉区霊屋下)

 

霊屋橋の近くで川幅が狭まり、水深は深くなる。霊屋橋の下流、右岸の急峻な段丘崖を通る道には鹿落坂の名が付けられている(青葉区米ヶ袋1丁目の片平市民センターから撮影)

 

愛宕大橋は国道286号が通り、仙台市の都心部と南部を結ぶ主要なルートで交通量が多い。川の流れと街の明かりが繊細な文様を作り出す(太白区越路の愛宕橋から撮影)

 

愛宕橋の下流にある愛宕堰から七郷堀が分かれる。江戸時代に造られた七郷堀は現在も農業用水として使われている(太白区越路)

 

ちょっと寄り道して七郷堀に沿って歩いてみた。かつて七郷堀の水は染色にも使われ、現在も町名として残っている(若林区南染師町)

 

川沿いの遊歩道から宮沢橋と背後に連なる高層ビル群を遠望する。きらめく明かりが広い川面に映える(太白区長町1丁目)

 

広瀬橋から眺める夜景は格別な趣がある。何度も撮影してきたが、その度に異なる写真になる(太白区長町1丁目)

 

川岸に三脚を立て、小さな羽虫の群れに閉口しながら待ち続ける。やがて本当に魔物が現れるような逢魔時の瞬間が訪れた(太白区八本松1丁目)

 

下流域では広瀬川の流れも緩慢になる。ほとんど静止した水面に大規模マンションの照明が蛍火のように反射する(若林区堰場から対岸を撮影)





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