【写真企画・東北異景】

第四回:晩秋の「地獄」に足を踏み入れる 秋田県湯沢市「川原毛地獄」

 蒼空の下に灰白色の山肌が連なる。風音さえ途絶えて、生命の気配は感じられない。紅葉に彩られた晩秋の山あいに“地獄”が存在していた。【文・写真/佐瀬雅行】

色彩を失った景色が広がる川原毛地獄。澄み切った秋空の下でも死の世界を連想してしまう(佐瀬雅行撮影)
色彩を失った景色が広がる川原毛地獄。澄み切った秋空の下でも死の世界を連想してしまう(佐瀬雅行撮影)

 川原毛(かわらげ)地獄は秋田県湯沢市の南東部、宮城・山形との県境に近い山中に位置する。火山活動で堆積した凝灰岩が火山ガスによって漂白され、独特な景観が生み出された。栗駒国定公園の一部で、「ゆざわジオパーク」のジオサイトに指定されている。

 大同2(807)年、月窓和尚がこの地に霊通山(れいつうざん)前湯寺(ぜんとうじ)を建立。天長6(829)年には、東北各地を布教していた慈覚大師円仁が訪れ、地蔵菩薩を奉納したと伝えられている。荒涼とした風景が仏教の世界観と結びついて地獄と呼ばれるようになった。青森県の恐山、富山県の立山と並んで日本三大霊地の一つに数えられるが、仏教以前から非日常的な場所として信仰の対象だったと推測される。

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