「キリバスは地球環境問題の最前線」仙台在住の名誉領事オノさんに聞く

ーー気候変動による海水面の上昇の影響はどのようなものなのですか?

オノ IPPC(気候変動に関する政府間パネル)や世界銀行の予測によると、最悪の場合で、2050年までに首都タラワのある島で国土の5割から8割が浸水するという予測になっています。

キリバスは赤道直下にある国で、赤道性気候と言って、本来、安定した気候です。台風の卵が発生し、雨も降るし、風も吹きますが、そんなにひどい状況になることは少なかった。ところが気候変動によって、気象が極端化しています。たとえば今まで経験したことがない強い嵐がきたり、1年の雨季と乾季のパターンがなくなったりしています。ものすごく雨が降る年とまったく降らない年に分かれてしまっています。

近年頻発している高潮による浸水被害(写真提供はキリバス共和国名誉領事館)
近年頻発している高潮による浸水被害(写真提供はキリバス共和国名誉領事館)

飲み水は雨水に頼っています。雨水を直接タンクに貯めるか、降った雨が地下に浸透して貯水されたものを利用するかです。海水面が上昇して浸水すると、土地が削られる分、地下の貯水率が減ってしまいます。以前は5年に1回、7年に1回程度だった大潮や高潮被害が頻発するようになってきました。海の水が上がってくると、地下水が直接の影響を受け、塩分濃度が高まります。

 島が温暖化でザブンとなくなってしまうという危機感もありますが、日常使う水を確保できなくなるのではないかとの不安の方が根強いです。海水温が上がっているので、海の中の生態系が変わってきています。サンゴの白化-白くなって死んでいくことが起きている。これが海の生態系のバランスを崩しています。キリバスの人たちは、世界で5番目に魚をよく食べる国民です。逆に言うと、自国でとることのできる蛋白源が魚以外にあまりありません。豚も食べますが、冠婚葬祭以外ではなかなか食べられません。

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