文/写真:中野宏一】2017年12月、フリマアプリ「メルカリ」の世界累計ダウンロード数が1億件を超えたと発表したメルカリ社。そのメルカリ最大のオフィスは、本社の東京ではなく、宮城県仙台市にある。今回は、12月9日に移転したばかりのメルカリ仙台オフィスを取材し、急成長を支える同社独自の「働き方」を探った。




「敬語」も「肩書」もないオフィス

2014年4月にメルカリの東京に次ぐ2番目のオフィスとして開設された、仙台オフィス。主にカスタマーサービス(CS)部門を担当する仙台オフィスでは、約600人の社員のうち約200人が働き、1日あたり100万件にものぼる出品を全て監視している。
オフィス内はとても静かだ。社員には固定の席はなく、各自に支給されるMacbookで、好きな席で仕事を進めるフリーアドレス制。CS部門はシフト制で、出勤時間は1日3回、9時・12時・14時に設定されている。スーツを着ている人はいない。目を引くのは、役職席がないことだ。社長も社員もフリーアドレス制で、同じ席に座る。

メルカリ仙台新オフィスは、東北地方で最も高いビル「仙台トラストタワー」22階にある。

「メルカリには、上下関係がないんですよ。だから、僕にも肩書はありません」。そう語るのは、案内してくれたCSグループの広報・採用担当の佐藤浩太郎氏だ。
「社内で敬語を使う機会がない。そもそも先輩・後輩という関係性がないんです」。実際メルカリには役員とマネージャーしかおらず、マネージャーもCS部門300人で31歳のひとりがいるだけだ。

全社員に「ストックオプション」を付与

肩書ではない同社の重視しているものが「一人ひとりが当事者意識を持つ」ということだ。社員は個々人が予算と決定権限を持つ。一つ一つの決定について上司に判断を仰いだり、上層部を説得したりすることに時間を費やさず、現場で意思決定するため、決定スピードが早く、社員に「末端感」がない。「全員に当事者意識がある」と、佐藤さんは語る。
会社への「当事者意識」を重視するメルカリ流の考えが象徴的に現れているのは、社員全員にストックオプションを付与しているということだ。これにより、社員全員が経営者の意識を持ち、上場を目指していると言われている会社で、経営やサービスに「自分ごと」として関わるようになるという。

メルカリ仙台新オフィスのカフェスペース。月1回の社内パーティーはここで行われる。

個人の裁量を重視すると同時に、社員間のコミュニケーションと関係性の構築もかなりのコストをかけている。壁がないオフィスを作ること。月1で全体社内パーティーを行うこと。誰かが入社すると全員分のケーキが配られること……。お互いに他人事ではない組織を作ることで、全員が経営やサービスに「自分事」として関わる体制を作り上げる。「成功することを考えたら、このような形になった」と、佐藤さんは語る。




「当事者意識」から生まれる新サービス

全社員が当事者意識を持って働く結果、革新的な新サービスが生まれることとなる。例えば、相手に自分の住所・氏名などの個人情報を伝えることなく匿名で荷物を送ることができるサービス「匿名配送」は、CS部門の社員が顧客の声を聞いて、現場で生まれた新サービスだ。
「CtoCサービスには、テンプレートがない」と佐藤さん。顧客価値を最大化させるためには、顧客一人ひとりに合ったサポートを行うことが大切だという。
「相手の状態、年齢などを考えて、テンプレートにとらわれずサポートメッセージを作り、送る。AIにはできないサポートを目指している。理想をいえば、10人いたら10通りのサポートをしたい」
社員一人ひとりがよりよいサービスを考え、判断する。そのようなサービスを目指した結果、「後発のサービスだったメルカリが伸びた」という。

 

「組織」ではなく「成功」のために

メルカリが掲げる「All for One」のOneとは「組織」ではなく「成功」だと佐藤さんは強調する。成功のためには、社員みんなのパフォーマンスを最大化させなければならない。そのためには、社員が最も集中できるスタイルで仕事すべきだ、というのがメルカリ流の考え方だ。人によって集中できるスタイルはさまざまだ。音楽を聞きながらだったり、立ちながらだったり、バランスボールに乗りながら等、ラフな姿勢の方が集中できる社員もいる。一見奇抜に見える社風も、生産性の観点から見れば、合理性があるものと言えるのかもしれない。





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