【文/写真:中野宏一】フリマアプリ「メルカリ」の世界累計ダウンロード数が1億件を超えたと発表したメルカリ社。そのメルカリ最大のオフィスは、本社の東京ではなく、宮城県仙台市にある。2017年12月に移転したばかりのメルカリ仙台オフィスを訪問し、急拡大を支える同社独自の「人材の採用法」を探った。

※この記事は、「全社員にストックオプション! 急成長を支えるメルカリ流の働き方とは」の続編です。




「採用責任者」が面接をしない、ってどういうこと?

約600人の社員のうちの約200人が勤務し、同社が最重視するカスタマーサービス部門を担当する、仙台オフィス。メルカリの事業の拡大とともに、採用する人材の数も急拡大しており、仙台オフィスだけで毎月10人もの社員を新たに採用しているという。

これだけ多数の人材の採用活動となればさぞ大変だろうと尋ねると、仙台オフィスの採用責任者・佐藤浩太郎さんからは意外な発言が返ってきた。

「僕、採用の面接はしてないんですよ」

採用責任者が面接をしないとは、どういうことか。「採用担当ではなく、実際に一緒に働くことになる現場の社員が面接するんです。それで、一緒に働きたいとなったら採用になります」




「新卒」という概念はない-採用は「リファラル採用」

ウェルカムボード。通年採用を実施しているため、12月にも新入社員が入社してくる。

メルカリの人材採用は、今の日本企業の一般的な採用とは大きく異なっている。「新卒」や「中途採用」という枠組みはなく、能力とやる気のある人材を通年採用する。人材募集に大規模な広報はせず、採用はメルカリ社員を通じた紹介で行われる「リファラル採用」の方法をとっている。

同社がリファラル採用を行っている理由のひとつは、同社に本気で関心を持ち、行動に移せる人材かどうかを見極めるためだ。同社は「過去にどれほど大胆な挑戦をしてきたか」を採用基準のひとつに掲げる。メルカリに入社したい場合、まずは社員を見つけ、自分から積極的にアプローチをして自分を売り込む必要がある。リファラル採用なら、こうした行動力と意思を持つ人材かどうかを採用の時点で知ることができる。

採用の過程は、まずメルカリの社員が入社希望者を会社に紹介。希望者には会社見学などをしてもらった上で、候補者が入社した場合に一緒に働くことになる、現場のチームが面接を担当する。

一人ひとり候補者が社員たちと深くコミュニケーションを取りながら進んでいく「リファラル採用」で採用された人材について、佐藤さんは「入社後の会社へのコミット感が違う。入社後の会社と人材とのミスマッチもとても少なくなる」と評価する。

採用担当の常識「母集団形成」をしない

仙台オフィスの採用責任者・佐藤浩太郎さん(中野宏一撮影)

佐藤さんはメルカリに入社する前、大手旅行会社や不動産会社で採用担当を長く経験してきた。いわば「人事のプロ」といえるキャリアを持つ佐藤さんだが、「メルカリに入ったら、前職までの採用の経験が全く使えなかったんです」と笑う。

現代の日本企業では、採用の基本は「母集団形成」だとされている。特に新卒採用に顕著だが、企業が接触人数をいかに増やし、応募者数の母数を多く集めるかが重要とされる。そのために大規模な広告を打ったり、各地で説明会を開いたりするのが採用担当の主な仕事だ。

一方でメルカリ社には、大規模な応募者の母数を集めるという発想がそもそもない。「数万人、数千人という単位から採用する10人を選ぶ」のではなくて、「やる気があり、現場と意見の合う人であれば、10人会ったうちの10人を採る」というのがメルカリ流だ。

データでなく、人を見る採用を

佐藤さん自身、大手企業の人事部で母集団形成に注力した採用方法を数多く経験してきた。大企業の新卒採用ではすさまじい「母数」が集まり、応募者をふるい落とすためにSPIや集団面接などを繰り返し、応募者も企業側も疲弊していく。

佐藤さんは「今の就活はデータしか見ておらず、『人』を見た採用ができていないのではないか。エントリーの数が大きくない方が一人ひとりをよく見ることができ、より本質的な採用ができていると感じる。人事のミスマッチも減らせ、お互いのためになる」と手応えを語る。

毎月約10人のペースで新社員を採用する仙台オフィスでも、離職率は非常に低く、月に一人いるかいないかだという。アプリの利用者は増加し、今では月100億円の流通額を生み出しているというメルカリ。その驚異的な成長の裏には、独自の考えに基づいた採用戦略があった。





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