オンラインで盛岡を見つめる「盛岡オンライン寄合」

【青木美侑=東北ニューススクールin青森/岩手県盛岡市】8月26日、「高校野球×地元愛」をテーマに、8回目となる盛岡オンライン寄合が開催された。この寄合では、各地に住んでいる「語りたい人たち」がオンラインミーティングの形式で語り合う。オンラインを通して、盛岡を見つめる目的とは。この寄合の提案者である菊地類さんに話を聞いてみた。

「盛岡」きっかけに遠隔の人がつながる「オンライン寄合」

盛岡オンライン寄合は今年の1月23日から始まり、毎月一回開催されている。10人から15人ほどで、画面越しに顔を合わせて語り合う。参加者の共通の興味を探りながらゆるく話す会である。盛岡在住者に限らず、回によって違う「テーマ」がキーワードの人ならだれでも参加が可能。これまでは「伝統」や「サードプレイス」がテーマとして挙げられてきた。

最初にテーマに沿って話し合いを進めながら、そこから偶然でてきた参加者同士の共通点や関心について話を深掘りしていく。今回のオンライン寄合では、この夏の甲子園で東北中を沸かせた秋田代表の金足農業高校の話だけでなく、今話題の映画や個人の趣味についても語られた。

菊地さんは緩やかに続けていくことで生まれる派生や出会いを大切にしている。そのため、毎月一回定期的に開催できるよう、集客やゲストトークにはあまり力を入れていない。参加者はFacebookでの投稿や知り合いへの声がけで募っている。

盛岡オンライン寄合の様子。年齢、性別、居住地も様々な参加者が「盛岡」をキーワードに繋がった。

「生まれた土地と向き合うことは、実はとてもおもしろい」

「戻る気はなかったし、何なら嫌いだった」と語る菊地さんは、高校までを盛岡で過ごし、大学進学を機に20数年ほど盛岡から離れていた。現在も関東在住だが、中学校の同窓会の開催や子供が生まれたこと、古くからの伝統が残る地域を旅する企画で「共同体」について考えるようになったことから、ちょっとずつ盛岡に関わろうと思ったという。

企画で岐阜県や長野県に訪れ、農業に関する地域独特の文化に面白さを感じた。そして、自分の親戚にも同じように興味深い文化があることを知り、自分が生まれた土地と向き合うことが実はとてもおもしろいということに気づいたという。「僕らが失ってきた自然との間隔とか、先祖との間隔だとか、そういうのが大事なんじゃないのかなと感覚的に思った」

時間や距離に縛られない、その土地や人とのつながり

交流する場で知り合えた人と、その場きりの関係になってしまうことはよくある。しかし、「集まる場」があればコミュニケーションのきっかけになると菊地さんは考えている。

「一緒に表現する場があれば、色々つながっていけると思っていて。そういう話す場というか語る場を作ることによって、一回なにかの集まりで会ったり、紹介されたりした人と継続的につながっていける。そして、つながっていく先にはなにかまたプロジェクトをやれるんじゃないか」

オンライン寄合は盛岡のためではなく、あくまで自分と盛岡が向き合うために行っている。「オンライン寄合を通し自分と盛岡との関係を再構築していくなかで、盛岡から受け取るものもあれば、逆に盛岡に渡していくものもある。自分が持つ問題意識や課題意識からスタートし、結果として盛岡のためになるという循環を大切にしていきたい」と菊地さんは語る。

【青木美侑】岩手県盛岡市生まれ青森県青森市在住。おもしろい「ヒト」について発信していけたらと思います。主な取材エリア:岩手県盛岡市・青森県青森市

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