外国人専門家が見た福島(3)原発10km圏内の国道6号を走る

2月1から2日にかけ、東京電力福島第一原発事故後の原発周辺地域の現状を知ろうと、世界各地から原子力分野の若手専門家が福島県を訪れた。TOHOKU360は、2日間にわたる専門家たちの視察を独占密着取材した。(安藤歩美)

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 視察2日目の2月2日、専門家たちはバスに乗り、福島第一原発の周辺地域をめぐった。福島大学特任研究員の開沼博さんが同行し、車窓から見える避難区域の現状について解説する。

◆「許可証」が必要な理由にいまだ続く窃盗

 常磐自動車道浪江インターを降りたバスは、全域が避難指示区域となっている福島県浪江町に着く。進行方向右側には、一時帰宅した住民が放射線物質が付着していないかを検査するためのスクリーニング場が見える。

 町内にはいまだ立ち入りが禁止されている場所があり、「許可証」を得た住民らが立ち入りを許可される。開沼さんはこの理由について、「放射線(線量が高いこと)はもちろん、それ以上に大きい理由は犯罪」だと説明する。「原発事故直後、窃盗が多発しました。今でも人が住んでいないため監視が効かず、窃盗が起こっています。その対策として、許可証を持っている人が入れる状況になっています」

◆町民の約半数が「戻らないと決めている」

 バスは、福島第一原発から10km圏内の、沿岸部の国道6号を南下していく。政府は浪江町の一部の避難指示を2017年3月に解除する意向だが、復興庁などが昨年9月に行った調査では、「すぐに・いずれ戻りたいと考えている」と回答した町民は17.8%だった一方、「戻らないと決めている」と回答した町民が48.0%に上っている。

 開沼さんは「一つの問題は、学校も、病院も、お店もないこと。もう一つの大きな問題は、5年間ここから離れ、職場や子供の通っている学校、人間関係が他の場所ができてしまっていること」だと指摘。「戻ってきたときに生活するための道具やコミュニティーをどういうふうに再び作っていくかが大きな課題だ」と説明した。

◆「原子力明るい未来のエネルギー」

 バスはさらに福島第一原発に近付き、双葉町に入る。「右を見て下さい」と、開沼さんが口を開く。その道の先にはかつて、「原子力明るい未来のエネルギー」と書かれた看板があった。看板は老朽化していて危険だとして昨年12月から解体が始まったが、一部では「原発を推進した誤った歴史の教訓として看板を残すべきだ」との主張もある。開沼さんは「生活の話もあるし、町のアイデンティティーをどうするのかという話もある。そういう意味での混乱はまだ、続いている」と、避難区域に共通する課題を語った。【360度VR動画ニュース】

(4)へつづく




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