外国人専門家が見た福島(4)オリーブの木に託す再生への希望

2月1から2日にかけ、東京電力福島第一原発事故後の原発周辺地域の現状を知ろうと、世界各地から原子力分野の若手専門家が福島県を訪れた。TOHOKU360は、2日間にわたる専門家たちの視察を独占密着取材した。(安藤歩美)

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 専門家たちは、福島県広野町の二ツ沼総合公園を訪れた。広野町は2012年3月に避難指示を解除したが、帰還した住民は約半数にとどまる。そんな広野町に新しい産業や観光資源の種をまこうと、町民たちが原発事故後、公園にオリーブの木を植え、育てる活動をしている。

◆事故に向き合った記録を残すために

 「私たちも最初、これから始めたんです」。広野町を拠点に復興支援に取り組む一般社団法人AFWの吉川彰浩さんが案内役となり、小さなオリーブの枝を手に、町民の思いを専門家たちに説明する。

 「今から約4年前、町民の方もほとんど帰っていない時期に、この地域でどう暮らそうか、もしかしたら暮らせないんじゃないか、と思っていました。でも子供たちや、さらに先の世代のために、今自分たちががんばらないと故郷がなくなってしまう。これ(オリーブ)に希望を見出そうという方が町民にいらっしゃったんです」

 オリーブの木々は、今では大人の背丈ほどに成長した。「オリーブを植えた理由が、もう一つあるんです」と、吉川さんが続ける。「オリーブの木は、樹齢が千年くらいある。私たちは廃炉を見届けられないかもしれないし、もしかしたら自分たちの故郷が元どおりになることも見届けられないかもしれない。でも、事故にあった大人がきちんと将来のために向き合った記録として、100年後も200年後も残していきたいのです」

◆「当たり前の光景」は、5年間の努力でできあがった

 オリーブは今では町内の小学校と中学校の花壇にも植えられているといい、広野町の復興のシンボルになりつつある。町内の学校では原発事故後、除染作業で花壇が削られてしまったというが、町民が子供たちのためにオリーブの木を植え、それをきっかけに花も徐々に植えられるようになったそうだ。吉川さんが語りかける。

 「学校に花がある光景を取り戻すのには、すごく時間がかかった。避難指示区域や避難指示が解除された場所に行ったとき、そこにある当たり前のように見える光景が、5年間の努力でできあがったものなのだということをわかってほしい。『コンビニしかない』ではなく、『コンビニを作るのに5年もかかった』のです」

 吉川さんは専門家たちに、「未来の世代への投資となるオリーブの植樹は、廃炉と同じくらい意義のあること」だと強調した。【360度VR動画ニュース】

(次回、最終回)




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