ジャーナリズムの祭典「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2016」が3月12日、東京都文京区の講談社講堂で開催された。昨年から開催されているこのイベントには、全国紙やNHKといった大手メディアから、Yahoo!ニュースなどのウェブメディア、山本一郎氏などのネット上の有名人も参加し、インターネットニュースにおける一大祭典の様相を見せた。来場者の投票により決定された最優秀作品には、渡邉英徳首都大准教授と沖縄タイムス、GIS沖縄研究室が共同で出品した「沖縄戦デジタルアーカイブ」が選ばれた。渡邉准教授は昨年に続き、連覇を果たした。(中野宏一)

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 「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」は、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が2015年に始めたイベント。今年の出場枠は50組で、個人・法人やプロ・アマの制限がなく、「2015年中にオンラインで上で発表した、自らがジャーナリズムだと考える作品」を出品することが出場条件だった。

 出場団体は、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日経新聞、東京新聞などの新聞各紙、NHK報道局といった大手メディアから、Yahoo!ニュース編集部、弁護士ドットコムライフ、Jタウンネットなどのウェブメディア、世相を鋭く切る山本一郎氏やインターネット上で圧倒的な人気を誇るライターのヨッピー氏まで多彩な顔ぶれに及んだ。TOHOKU360を運営するTHE EAST TIMESも、「東北から全国ニュースを書く」というテーマで出品した。

「旧メディアの逆襲」なのか

 決勝6チームに残ったのは、渡邉准教授のグループに加え、日経新聞、朝日新聞、読売新聞、宮崎てげてげ通信と山本一郎氏だった。昨年決勝に進めなかった新聞社が多かったためか、「旧メディアが今年リベンジをかけてきた」(主催者)という。そんな中優勝したのは、沖縄戦で亡くなった人々と生き残った人々の記録を沖縄タイムスが丹念に取材し、その人々の動きを地図上で表現した渡邉英徳准教授の作品だった。

 大手メディアの作品が決勝に残り力を見せつけた一方で、「オンラインジャーナリズム」の祭典でありながら、インターネットメディアの存在感が希薄だったように感じる。取材態勢や資金面で大手メディアと大きな差がある中で、独自の存在意義を表現してゆくことが求められるだろう。優勝した渡邉准教授のグループは、「取材力」と「オンラインでしか表現できないこと」を組み合わせ、まさに優勝にふさわしかったと感じる。優勝を逃した大手メディアの作品は、「オンラインでしか表現できないこと」という点で、必然性に乏しかった印象だ。

 THE EAST TIMESは、「現場主義のインターネットメディアの確立」という設立趣旨に基づき、震災報道から「ダンボルギーニ」などの東北の話題まで、多くの記事を発表した。THE EAST TIMESの安藤歩美編集長(28)は「インターネットメディアが東京に集中している一方で、ニュースの現場は全国各地にある。東京だけがニュースの現場ではないことを伝えたい」と語り、アワードに臨んだ。今年2月にリリースした日本初の360°VR動画ニュースサイト「TOHOKU360」も参考として紹介し、注目を集めた。安藤編集長は「震災から5年が経つ被災地のようすなど、現場を知らない人々に情報を忠実に伝える方法を模索するうち、360°VR動画の大きな可能性に惹かれた。来年はTOHOKU360でぜひ決勝に」と意気込んだ。

 これまで、新聞やテレビの報道とインターネットニュースが同じ土俵で競い合う機会はあまり見られなかった。その点でジャーナリズム・イノベーション・アワードは画期的であり、今後の発展が期待される。

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