2015年11月5日未明、青森県八戸市鮫町にある「蕪嶋神社」が全焼した。神社のある蕪島(かぶしま)はウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されており、社殿の焼失による悪影響も懸念されたが、今年もウミネコたちは変わらずこの地へ飛んできた。(漆田義孝)

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社殿焼失前の蕪嶋神社(2011年5月、漆田義孝撮影)
社殿焼失前の蕪嶋神社(2011年5月)

◆八戸の象徴・蕪島神社焼失が与えた衝撃

蕪嶋神社は鎌倉時代からその存在が文献に残っている、由緒ある神社だ。宮司の野澤俊雄氏によると、社殿は歴史上何度か建てなおされており、11月に焼失した社殿は1977年に建立されたものだった。

八戸を代表する観光地の蕪島、そのシンボルとも言える蕪嶋神社の焼失は、地元住民や観光客に大きな衝撃を与えた。事故当初は漏電の可能性が報じられたが、その後の警察や消防の見解では、火災の原因は不明とされている。

◆今年もウミネコはやってきた

ウミネコの営巣を間近で見ることができる(2011年5月撮影)
ウミネコの営巣を間近で見ることができる(2011年5月撮影)

神社のある蕪島はウミネコの繁殖地として有名で、ウミネコたちが巣を作るようすを間近で見ることができる、日本で唯一の場所と言われている。ウミネコがこの地にいつから飛来するようになったのかは不明だが、弁財天の使いと言われ、地域の人々に大切にされてきた。

蕪島は元々は名前の通り島だったが、戦時中に海軍の特攻基地として使用するため埋め立てられ、現在は陸続きになっている。空襲を受けるなど戦禍にも巻き込まれたが、ウミネコたちはその後も蕪島に飛来し続けた。

例年は節分の頃からウミネコが飛来するが、今年は暖冬のためか、最初にやってきたのは2月14日だったそう。社殿が消失し一変してしまった蕪島に、変わらず飛来してきたウミネコたちを見て、野澤宮司もホッとしたという。

◆ウミネコのいない時期を中心に、3年かけて社殿を再建

ウミネコたちに気づかれないように巣の位置をずらして参道を確保するなど、人の手による配慮も欠かせない(2011年5月撮影)
巣の位置をずらして参道を確保するなど、人の手による配慮も欠かせない(2011年5月撮影)

ウミネコは2月から4月にかけて蕪島周辺に飛来し、午前中は島で巣を作り、午後は海に戻る、という行動を繰り返す。5月からは繁殖活動が本格化し、島は足の踏み場もないほど、子育て中のウミネコたちで埋まってしまう。ウミネコと人とが共存するためには、ウミネコたちに気づかれないように少しずつ巣の位置をずらして参道を確保するなど、人の手による配慮も欠かせない。雛が巣立った後の8月には、ウミネコは島を離れていく。

蕪嶋神社の再建は、彼らが去るお盆過ぎから始まる予定だ。ウミネコのいない秋冬を中心に工事を行い、再建には3年ほどかかるという。今年の秋は基礎を打って、来年は建物の工事、と長丁場になる。元の社は流造(ながれづくり)で、ウミネコが羽ばたいているような姿だった。その形をなるべくそのまま復元させたいというのが、野澤宮司の思いだ。

◆今年も観光は可能、ただし「バクダン」に注意

ウミネコ今年も蕪島では、ウミネコたちに会うことができる。ただし、最盛期は本当にたくさんのウミネコが飛んでおり、地元では「バクダン」とも呼ばれるフンがよく降ってくる。そのため、汚れてもいい傘を持っていくのを忘れてはいけない。

また、ウミネコへの餌付けも一切禁止されている。餌につられて巣を飛び出した雛が他の鳥に突かれてしまうなど、深刻な被害も発生している。ぜひマナーを守って、日本で唯一の貴重な光景を楽しんでほしい。

再建を支援するための募金は、ネット募金や、公益社団法人八戸観光コンベンション協会への振込みという形で受け付けている

ウミネコの繁殖地として国天然記念物に指定されている青森県八戸市蕪島(2011年5月、漆田義孝撮影)
ウミネコの繁殖地として国天然記念物に指定されている青森県八戸市蕪島(2011年5月、漆田義孝撮影)

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