【今に息づく伊達文化を訪ねて】仙台みそ・亀兵商店(仙台市)

  • 2016年12月23日
  • CULTURE
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【連載】今に息づく伊達文化を訪ねて①仙台みそ・亀兵商店

 【平間真太郎=仙台】百万都市・仙台の礎を築いた伊達政宗。その政宗によって発展した文化が2016年4月、「政宗が育んだ“伊達”な文化」として、文化庁の日本遺産に認定された。そこには、伊達家の伝統文化を土台に、絢爛豪華な桃山文化を取り入れた斬新さ、海外文化に触発された国際性などが挙げられている。2017年は政宗の生誕450年。注目を集める伊達文化だが、伊達家に伝わる文化芸術はもちろん、それだけでなく伊達家が統治した「藩政時代」に始まる多様な文化は現代に脈々と生き続けている。私たちの身近に息づく伊達文化を求めて、その現場を訪ねてみた。

地域の食卓支え続ける「仙台味噌」

 伊達文化探訪の旅のトップバッターに選んだのは「仙台味噌」。毎日の味噌汁を欠かさず、味噌漬けが大好きという、筆者のきわめて個人的な理由からだが、もちろん仙台味噌の源は政宗にある。

 煮たり蒸したりした大豆を主原料に、麹菌を植え付けた米や大豆、麦などを加え、発酵させて造られる味噌。一口に味噌と言っても、発酵に使われる麹や造られる地域によって異なる。蒸した大豆を米麹で発酵させた仙台味噌は、いわゆる「赤味噌」の代表格。しっかりとしたコクのある味が特徴だ。

訪ねたのは、文久元年(1861)創業の「合資会社 亀兵商店」(仙台市青葉区)だ。広瀬通の西公園近くで仙台味噌をつくり続けている。12月初めとあって、味噌づくりの現場は忙しい。通常の出荷に加えて、贈答用の商品も最盛期だ。

 6代目当主の亀田治代表に案内してもらい蔵の中へ。奥にある味噌を熟成させる室に入ると、味噌の香りとともに、夏のような蒸し暑さに包まれた。室温は30度前後。味噌が入った繊維強化プラスチック(FRP)製の桶がずらりと並ぶ。かつては10石(1石は約180リットル)入る木の桶だったが、40年ほど前からFRP製が使われるようになったという。木の蓋の上には重石がゴロゴロ。味噌1トンに対して100キロの重石が必要となる。

 「昔は年1回、冬場に造っていましたが、現在は通年で製造しています。純粋培養で力強い良い酵母を使うなど発酵環境が良くなったことが大きいですね」と亀田さん。

 こうして造られた亀兵商店の味噌は、樽(20キロ入り)に詰められたり、贈答用(4キロ)の包装を施されたりして出荷される。

亀兵商店の蔵の中にある味噌を熟成させる室。夏のような暑さの室内には味噌の香りが満ちている(平間真太郎撮影)
亀兵商店の蔵の中にある味噌を熟成させる室。夏のような暑さの室内には味噌の香りが満ちている(平間真太郎撮影)

政宗創始の仙台味噌が江戸っ子も魅了!

仙台味噌の歴史は、政宗の仙台開府(1601年)とともに始まる。戦国時代、味噌は重要な兵糧のひとつだった。その自給体制は、城下町を開く際にも重要視された。仙台味噌の始まりは、政宗によって城下に設けられた「御塩噌蔵(ごえんそぐら)」にあるとされる。御塩噌蔵は日本初の味噌工場とされ、現在では、承応元年(1652)の焼失後に御塩噌蔵が再建された仲の瀬橋近くに、「仙台みそ発祥の地」と記された石碑が建っている。

 仙台味噌は藩内で消費されただけではない。江戸っ子の食卓を支える「ブランド味噌」でもあった。大井村(現在の東京都品川区東大井4丁目)にあった仙台藩下屋敷では、国許からの大豆や米を使って味噌が造られていた。「江戸市中で消費される味噌の3分の1は仙台味噌と言われていたんですよ」と、亀田さんが教えてくれた。

 現在、仙台味噌は原料から製法、製造地域まで統一された基準に基づいて造られている。江戸時代においても、同業組合にあたる味噌醤油仲間が結成され、品質や価格の安定を図ってきた。政宗の時代から現代まで、仙台味噌は地域の特産物を使い、大切に造られてきたのだ。

熟成が進むにつれて色の濃さが増す。色と香りが食欲を刺激する(平間真太郎撮影)
熟成が進むにつれて色の濃さが増す。色と香りが食欲を刺激する(平間真太郎撮影)

栄養面でも再評価される味噌

 仙台の歴史とともに歩んできた仙台味噌。現在では、大豆の栄養がたっぷり詰まった味噌は、酵素の働きでより栄養補給がしやすい食品としても注目されている。

 亀田さんはこう語る。「仙台味噌は仙台という地域に最適化された食品と言えます。米、味噌、醤油はケ(日常)のもの。現代は食生活が多様化していますが、風土に育まれた食文化として、自然な形で親しんでほしいですね」

文久元年(1861年)創業の亀兵商店。西公園に近い大町の地で伝統の味をつくり続けている(平間真太郎撮影)
文久元年(1861年)創業の亀兵商店。西公園に近い大町の地で伝統の味をつくり続けている(平間真太郎撮影)
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