【シニアネット仙台】高齢社会の自立をデザイン(2)

  • 2016年7月21日
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 仙台市の代表的な繁華街「一番町」のサンモール一番町商店街にNPO法人「シニアのための市民ネットワーク仙台(通称シニアネット仙台)」(丹野惠子理事長)の「一番町サロン」があります。20年ほど前、シニア世代がNPOを立ち上げ、多様な活動の拠点となるサロン的な場所づくりを自力で目指してきました。多くの高齢者たちがボランティアでサロンの維持運営にかかわっています。
 一方、財政難を背景とする介護保険法の改正に伴い、比較的軽度な要支援者を地域の介護力にまかせる流れが強まっています。「一番町サロン」のような、高齢者を地域全体でサポートする取り組みにも関心が高まっています。シニアネット仙台の20年の歩みを振り返り、自立型のサロンの意義や現状について報告します。【佐藤和文:メディアプロジェクト仙台】

「シニアネット仙台」第一回はこちら

活動グループのよりどころに

<多様な関心を映す>

 「シニアネット仙台は単なる互助組織で、NPOとしては公益性に欠けると、ずいぶんと厳しい指摘も受けてきたんですよ」と、シニアネット仙台の前理事長、緑川斐雄さん(80)は、やや残念そうに振り返ります。緑川さんは、1999年(平成11年)にシニアネット仙台に参加しました。

 高齢者のパソコン活用を支援する活動と合わせて、目の不自由な人々のパソコン利用をボランティアとして手助けしてきました。事務局長理事から副理事長、理事長まで務め上げています。シニアネット仙台の「生き字引き」のような人です。シニアネット仙台とは別に、大手企業のOB組織を東北で初めて立ち上げ、支部にまで昇格させた経験もあります。一つの組織に縁ある人々のための「互助」の現場を自ら担ってきた人。だからこそ「シニアネット仙台に集まる人たちは、互助組織に来ているわけではないし、動機も、きっかけもまったく違います」という言葉に実感がこもります。

 シニアネット仙台が旗揚げした21年前、定年退職者や家庭での役割を終えた高齢世代を、なんらかのサポートを必要とする人々と、とらえる空気が濃厚でした。加齢とともに福祉や医療の支援を必要とする高齢者が増えるのは、今でもごく自然な話ですが、一方で、たとえば定年後、一時的に目標を失っているにすぎない男性たちを「ぬれ落ち葉」(自分ですることがないために妻に頼り、つきまとう意味)と揶揄する雰囲気は確かにありました。シニアネット仙台には、そうした社会的な雰囲気に疑問を持つシニア世代が多数集まりました。

 当時、身近にあった高齢者関連の取り組みといえば、まず全国組織でも老人クラブがあります。そして仙台市の独自の施策として、おおむね60歳以上を対象とする「老壮大学」、その修了者らが学べる「仙台明治青年大学」がありました。シニアネット仙台の活動の現場は、こうした既存の施策とは異なる市民活動として、多くの市民の参加によって設計され、具体化されました

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きょうも忙しそうな一番町サロン。手前右側がサロンスタッフの受付。週6日を交代制で運営しています。(佐藤和文撮影)

<互助組織に見える?>

 「一番町サロン」を中心に動いている活動グループの数は2015年度(平成27年度)実績で28。のべ参加人数は13364人に上ります。主な活動グループは「観光ボランティア『ぐるーぷ・よっこより』」「PCサロン」「豊齢社会研究会」「杜の都の麻雀会議」「あしかび短歌会」「パソコン教室」「朗読教室」「うたごえサロン」「わいわい句会」「デジカメ倶楽部」「囲碁サロン」など。

 加えてサロンが独自に運営する企画と講座が曜日ごとに起案されます。同じ年度の実績で見ると、サロン企画の参加者は744人、サロン講座参加者は1064人でした。年間合計は1808人となっています。

 シニア世代の関心の多様さを示すように、大小さまざまなグループが、それぞれ自主的に活動し、シニアネット仙台の事務局がそれらを支援する形になっています。シニアネット仙台はすべての活動が自立型です。発足当初は福祉部、情報部、企画部などの「部」ごとに活動していました。部長がいて、副部長がいて・・。企業や役所の組織にそっくりでした。市民活動の現場にはなじまないため、ボランティアによる自立活動の集合体に変わりました。各活動グループがサロンを積極的に利用することで、利用料を支払い、組織全体の経営を支える構造になっています。

 以上のような活動の数々が、なぜ「単なる互助組織」に見え、「公益性が足りない」と指摘されなければならないのかについては次回以降、考えます。

一番町サロンの図書。会員らの寄付で成り立っています。(佐藤和文撮影)
一番町サロンの図書。会員らの寄付で成り立っています。(佐藤和文撮影)
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