今回の仙台市長選の掲示板は2段となっている

第一回第二回第三回

早いもので、第4回目になりました。こうやって選挙のことや政治のことを書いていくと、いかに政治の現場は謎の制度が多いかを実感します…。さて今回は、初回に取り上げた選挙ポスターに関する裏話をしたいと思います。

「届出順」は「先着順」ではなかった!

皆さんは選挙に関するニュースで「届出順で~」という言葉を聞いたことがないでしょうか?ポスターの掲示板には番号が振ってありますが、ポスターを貼る位置は選挙初日の「届出」で決定されています。

届出順という名前から「先着順」なのかと想像される方も多いと思いますが、実は届出順は「くじ引き」で決定されています。選挙の立候補期間は、公示日・告示日の8:30~17:00となっています。ルールとしては、この時間の間であればいつでも立候補の届出をしていいのですが、届出順を決める「くじ引き」の対象となるのは、8:30前に受付を終了させた陣営となります。

ここで、謎の制度があります。このくじ引きは「二回」行われます。まず1回目は「くじ引きを引く順番を決めるくじ引き」が行われます。そして2回目のくじ引きで、「届出順」が決まります。公平に公平を期すために行われるのですが、筆者が初めて届出に行ったときは最初意味がわかりませんでした(笑)

届出順が早いほど、選挙活動を早く始めることができる

この届出順が決まってから、立候補の手続きが始まります。なので順番が早ければ早いほど、選挙活動を早く始めることができます。ちなみに一陣営あたり10分程度かかるので、最後の方の番号を引くと結構待たされてしまいます。

この手続きでは、選挙の「7つ道具」というのが配られます。簡単に言ってしまえば選挙活動をするために持っておかなければいけないものが配られます。運動員の腕章や、マイクを使う許可証などです。候補者はこれらが手に入らないと実際に活動ができないので、若い数字が出ることを願うのです。

選挙ポスター掲示場所は「上」の方が有利?戦略的に狙う候補者も

選挙ポスター掲示板は候補者が少ない選挙では「二段」になっていることが多く、候補者が多い選挙では「三段」になっていることが多いです。上の方がポスターは目立ち、下の方がポスターは目立たないと言われています。一方でポスターの貼りやすさとしては、一番下の方が貼りやすいです。

今回の仙台市長選の掲示板は2段となっている
今回の仙台市長選の掲示板は2段となっている(画像を一部加工しています)

2015年の仙台市議会議員選挙では、青葉区で16人の候補者が出馬するという事前情報がありましたが、8:30時点では15陣営しかいませんでした。8:30過ぎに、遅れて1陣営が届出を行いました。その候補者陣営は寝坊して遅刻したわけではありません。狙いがありました。16番目を確実に取るために、あえて遅れてきたのです。16番目のポスター掲示位置は一番上になるため、あえてくじ引きをせず、そうした行動を取ったのです。作戦が功を奏したかどうかは知りませんが、その候補者は見事上位当選を果たしました。

普段の生活ではなかなか馴染みのない選挙や政治の世界だと思いますが、こうした選挙の舞台裏を知り、候補者たちの奮闘を想像してみることで、もっと選挙を身近なものに感じてもらえたらと思います。

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