【赤尾邦和通信員=シエラレオネ】こんにちは。現在西アフリカのシエラレオネという国に赴任しています赤尾邦和と申します。これから可能な限り、このシエラレオネという日本では本当に馴染みの無い国について少しずつ伝えて行ければと思います。



シエラレオネって、どこにあるの?

シエラレオネは西アフリカに位置し、ギニアとリベリアに囲まれた北海道と同じくらいの面積を持った国です。イギリスへの奴隷発着地という歴史から、隣のリベリアと同じく英語圏で、これは回り全体がフランス語圏である西アフリカからしたら少し特殊です。主要穀物は日本と同じくお米で、みんな米の上にじゃがいもの葉やオクラ等を諸々混ぜたソースをかけて食べます。見た感じはまぁカレーみたいな感じになりますね。(味は全然違うけど)。こうしたことはまたおいおいお話出来ればと思います。

多分シエラレオネという名前を知っている人の多くは「エボラが大流行した国の一つ」と覚えているのでは、と思います。また、少し前ですがディカプリオが主演した「ブラッド・ダイヤモンド」の映画の舞台であります。更には世界で最も妊産婦死亡率が悪く、WHOによると10万人の妊婦さんのうち、1,360人が出産前後で亡くなっているとのことです。そして昨年は首都のフリータウンという街で土砂崩れがあり多くの方が亡くなりました。まぁこう書くと悲しい国のようになってしまうのですが(国際機関で働くとネガティブなところに目がいってしまいます・・・)実は内戦が終了して以降治安は安定している国で、私は夜でも自転車で会社に通勤も出来ます。政治は事実上の二大政党制が機能しており、内戦が終了した2001年以降二度政権交代が実現しております。色々と問題はあるものの、独裁的に何年も国のトップが居座る国々も多い中、民主的にリーダーを変えることが出来ている国と言えます。

「仙台防災枠組」をもとに進む、日本の防災プロジェクト

私は移民を支援する国連機関であるIOM(国際移住機関)というところに所属し、主に日本政府から出資頂いたプロジェクトの管理、運営を行っています。こんな誰も知らない(失礼!?)国に何で日本が支援をしているのか、どんなことをしているのかということをお伝えしたいと思います。

現在行っている日本政府出資のプロジェクトの一つは防災対策プロジェクトです。日本は2011年3月11日に発生した東日本大震災など災害に見舞われることが多いことから、国際的に防災分野のリードドナーとして国連防災世界会議を過去3回主催しています。IOMシエラレオネの防災プロジェクトは2015年に仙台で開かれた第三回国連防災世界会議の結果採択された「仙台防災枠組2015-2030」の達成に寄与するものとなります。

移民を支援する国連機関が何で防災活動をするの?と思う方もいるかもしれません。でも、防災と移民は密接に繋がっています。大地震や洪水などが発生するとその住民は住まいにいられなくなり、一時的にでも避難民としてキャンプなどに住むことになります。こういう被害に遭う方が少なくなるよう、被害が出ても最小限のインパクトで済むようにすることを目指すのが「仙台防災枠組2015-2030」であり、IOMの活動方針とも一致しています。

日本の浄水技術や防災教育を、シエラレオネに

では日本の支援している防災プロジェクトで何をするのか?実はシエラレオネにおいても日本の知見というのはとても役に立っているのです。例えば災害を受けた被災者のキャンプの浄水装置をIOMが建設したのですが、これは日本の民間企業ポリグルという会社が作った浄化剤を活用しています。洪水などの水害が発生したときに真っ先に問題になるのは安全な飲料水の確保が大事ですが、濁流などで汚染されてしまうとコレラなどの感染症の発生源となります。このポリグルの浄水剤と塩素を使うことでこの多くを除去できます。

https://www.youtube.com/watch?v=fPGbCwXhbVw

他にも学校の先生への学校防災教育のワークショップを行っていますが、これも日本の小学校の防災訓練を想像するとわかりやすいのではないでしょうか。日本では防災訓練は定期的に行われほぼ全ての子どもたちが防災に対する知識を持っていますが、こうした仕組み自体はシエラレオネにとって新しく、私がプロジェクト当初に日本ではみんな防災訓練などやっているのだよ、といったことを伝えたところ是非取り入れたいという強いリクエストが政府からあがりました。学校での防災教育は単に子どもたちに教育をするだけでなく、家で両親など大人に情報を伝えていくことも期待でき、地域全体での災害への備えに繋がります。

シエラレオネにおける防災事業 http://www.iomjapan.org/activities/sierra_leone_drr.html

日本の民間企業が開発した水の浄化剤を活用した浄水装置。

移民の知見を活用した支援活動も

また、ディアスポラを活用した国際開発事業も日本政府の支援の元に行っています。ディアスポラという言葉は耳慣れませんが、医者や学者などの高度教育人材移民のことを指します。シエラレオネのような途上国ですと国内の給与よりも国外の方が高い場合が多く、多くの方が外国での仕事を目指して外に出てしまいます。ただ一度外に出てしまうと、日本でUターン就職をする人が多くいるように、やはりいつかは母国で働いて貢献していきたい、という人たちが多くなっていくようです。こうした人たちの知見を活用して国内の教育や保健制度の構築を進めていくプロジェクトです。

僕たちIOMは「正規のルートを通して、人としての権利と尊厳を保障する形で行われる人の移動は、移民と社会の双方に利益をもたらす」 という基本理念を持っています。移民というと先進国の人から見ると「仕事を奪う人たち」、途上国から見ると「頭脳流出」という言われ方でネガティブに見られる人もいるのかもしれません。ただ、移民がいることで双方の社会が発展することをIOMは目指していて、このシエラレオネのプロジェクトもその基本理念に則ったプロジェクトです。実際の活動はこのYouTubeの動画がわかりやすいと思います。

Medical Diaspora Engagement in Sierra Leone https://www.youtube.com/watch?v=u7n2ZRfo63I

ディアスポラ医師による無料外科手術サービス。シエラレオネの若手の医師にも参加してもらい、OJTも平行して行っています。
【赤尾邦和通信員】1983年生まれ。東京大学公共政策大学院卒。現在国際移住機関(International Organization for Migration:IOM)シエラレオネ事務所にプロジェクトマネージャーとして2016年から活動中。ポストエボラプロジェクト、高度人材移民を活用した開発プロジェクト、及び防災案件を担当している。




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