【連載】人口減少最前線・秋田県の起業家たち①横手編

世田谷区から秋田・横手へ移住、起業する2人の40代の決断

【PR記事】全国一のスピードで人口減少が進む秋田県。人口約9万3千人、東北でも指折りの豪雪地帯の横手市も、人口流出に悩まされる自治体のひとつだ。そんな横手市に、東京都世田谷区から、時を同じくして移住、起業を決意した2人の40代男性がいる。依田尚博さん(47)と沼田啓詞さん(44)。東京の全く違うフィールドで働いていた2人は、偶然にも同時期に、横手市への移住と起業を決意。人口が減り続けるこの街へ、なぜ移住し、起業しようとするのか。

秋田県横手市での起業を予定する依田尚博さん(左)と沼田啓詞さん(右)

知らない人に「こんにちは」とあいさつする街に驚き

 沼田啓詞さんは、都内で企業向けに人事コンサル会社を経営する経営者だ。静岡県出身で、横手市との縁は子供のころに親戚を数回訪ねた程度。東京で経営者として活躍する中、亡くなった祖母の納骨を機に再び横手を訪れたとき、その街の雰囲気に心惹かれる自分がいたという。

 「きっかけは、子供の挨拶だったんです。すれ違ったとき、全く知らない自分に対して子供が『こんにちは』と言ってくれた。今どきないですよね、それが驚きで。それから、この街何かいいな、と思うようになりました」

 子供が生まれ、治安や交通安全、教育面などが気にかかり、他県への移住を考えていた時期でもあった。その訪問を機に昨年から横手市への移住を考え始め、何度も東京から横手に通い、亡くなった叔母が住んでいた家で過ごすようになったという。過酷と言われる冬の豪雪の時期もあえて横手で過ごすことで、「雪を通じて人と接することができた」。

 「今の時代、とかく自分の欲求を先に主張しがちですが、横手では雪かき一つでも隣同士で気遣ったり、お互い手伝ったりする文化がある。来るたびに、住みたい気持ちが高まりました」

 沼田さんは「起業」が先ではなく、「この街に住みたい」という思いが先にあった、と話す。「勤め先を探そうと現地のハローワークへ行ったら、除雪作業員などの仕事しかない。じゃあ仕事を自分で作ろう、と思ったんです」

 東京では、企業を顧客に、従業員のメンタルヘルス対策や休職管理などの事業を展開していた沼田さん。「東京でのビジネスは、業務の流れが大都市向けに固まってしまっているのだと思う。地方でゼロベースから経験を積み上げ、地方に適用可能な地方ならではのビジネスモデルを作ってみたい」と意気込む。盛岡や仙台といった地方都市などへの展開も視野に入れ、今年から、横手市で事業のニーズの調査を始める予定だ。

「40代の今が、挑戦する限界だと思った」

 時を同じくして、横手への移住と起業を考える世田谷区在住の男性がいた。会社員の依田尚博さん。長野県出身で、秋田県には妻が由利本荘市の出身だという以外に接点はなく、「横手に移住することも、起業することも全く考えていなかった」と話す。

 横手を訪れる契機となったのは、首都圏から秋田県へ移住し起業を目指す人を支援するプログラム「ドチャベン」。参加者を募集していることを知り、「話を聞くうちに面白そう、と思った」と2015年、軽い気持ちで横手市での現地プログラムに参加したという。

 現地では相野々ダムのほとりにある、林業の方々が休憩所としても利用する山小屋に一泊しビジネスプランを練った。豊かな自然の中で朝4時に起床して趣味のランニングをしてみるととても気分がよく、クロスカントリーランニングにも適した場所ではないかと思った。自然が豊かで、たくさんの山々もある横手市を、全てのスポーツの基礎であるランニングの聖地にしてはどうか。そんなビジネスを提案したところ、意外にも多くの人々が「面白いね、やってみたら」と背中を押してくれた。

 会社員として、東京で映像ディレクターやECショップの運営コンサルなどの業務を忙しくこなしていた日々。趣味のスポーツを事業化してみたいという気持ちがあったとはいえ、横手市は全く知らなかった土地だ。移住して起業を決意した背景には、横手で出会った人のある言葉があったという。

 「30代後半のぶどう農家の方が、ぶどうもあと数十回しか作れない。時間はあるようで短い、と言っていて。自分も、起業をするにはもう両手で足りるくらいしか時間がない、と思ったんです。40代後半の今が、挑戦する時期の限界なのではないか、と」

 依田さんは移住後も映像ディレクターなど現在の職能を生かしたビジネスを展開しつつ、横手で自然を生かした「スポーツツーリズム」を事業化する夢を描く。ランニングやクロスカントリー、トレイルランニング、自転車など、「学生団体から家族まで、老若男女あらゆる人が安全にスポーツを楽しめる場所を作りたい」と意気込む。「横手には多くの山々や自然があるので、競技者の方が飽きないような工夫をしたパッケージを作っていきたいですね」

横手の「背景になりたい」人、「背景を作りたい」人

 同じ東京都世田谷区に住む2人は、偶然同時期に横手市での移住や起業を考え、この春ごろから活動を開始しようと動き始めている。この日、取材を機に対面した2人は「横手の、あの環境で何かやりたい、という思いが始まりにあることが共通していると感じました」と笑いながら同意した。

 「横手の文化の中に入りたい、あの横手の風景の中に溶け込み、背景になりたい、と思っているんです。いつの間にか住んでいて、こんなことをやってます、と言えたら」と、沼田さん。対して依田さんは「横手の『背景』を、もう一枚作りたい。ランニングやロードバイクなどのスポーツサイクルクラブを作り、いろんな人がスポーツを楽しんでいる風景を作りたい。クロスカントリーやランニングはウエアが派手ですが、そういう人が街中のお店やカフェにいても街の人が受け入れてくれるようにしたい」と語った。

「やめとけ」でなく「面白いね」と言ってくれる環境が横手にはある

 2人は横手市を選んだ理由の一つとして、「新しいビジネスやアイディアを受け入れてくれたり、面白がってくれたりする文化がある」と指摘する。「居酒屋で地元の人と酒を飲んで事業のことを話しても、『やってみたらいいんじゃない』と背中を押してくれる良さが横手にはあるんですよね」、と沼田さん。依田さんも、「地元だと「やめとけ」と言われるようなことも、横手だと『面白いね、頑張ってね』と言ってもらえる」

 起業家の背中を押すのは、地元の人たちの懐の深さだけではない。秋田県が推進する「ドチャベン」や、横手市での起業・移住を支援する一般社団法人MAKOTOの誘致活動もあり、横手市では若手の起業家が東京から移住して起業する例が増えている。日本酒と果物をセットにした定期便で起業した「秋田ことづくり」、県産米を使用した新商品開発に取り組む「イクスキューブ」など先輩起業家たちの存在は、情報や知識を交換し合える土壌を作っている。起業家支援のプロが集まる一般社団法人MAKOTOは、起業前から会社経営まで、時期や起業家一人ひとりに合わせたアドバイスやノウハウを提供してくれる。

 依田さんは「お金の調達方法やビジネスのしくみだけを上から一方的に教えるというのではなく、『こういう人と会うと事業が進展するのでは』といった地元における実務上のアドバイスなど、起業家と併走して、キャッチボールしながら支援してくれる」と語る。

 一般社団法人MAKOTOの堀江洋生さんは「横手市では起業家誘致プログラムやイベントなどによって、地域の人と外の人とのつながりが育ってきており、外から来る人に対する見方も変わってきていると感じる。行政が入らずとも、地元の人や起業した先輩からのサポートが手厚い地域という点でとても特徴的な地域。2人が入っていくことで、これからますますどんな地域に変わっていくかがとても楽しみ」と期待を込めた。

【連載:人口減少最前線・秋田県の起業家たち】

人口減少が全国ワースト1位のスピードで進み、急速に少子高齢化が進む秋田県。県内のほぼ全ての市町村が「消滅可能性都市」とも指摘される秋田県へ、Uターンや移住をし、起業して地域を活性化しようとする起業家たちがいる。東北各地で起業家育成事業を展開する「一般社団法人MAKOTO」が支援する「人口減少最前線・秋田県」の起業家たちの、挑戦の現場を訪ねた。

[提供:一般社団法人MAKOTO]

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