【若栁誉美】東北各地を盛り上げようと活動する「ご当地VTuber」がじわじわと増えている。2020年に入り1万人を超えるVTuberが活動する中、記者は青森県の観光地や食を紹介する人気VTuber「青森りんこ」さんを知った。青森県の「地域おこし」の活動に熱心に取り組む青森りんこさんに、その思いや原動力を聞いた。
※VTuberとは:「バーチャルYouTuber」の略で、CGなどのキャラクターでYouTubeを配信する人のこと。
「自分を知ってもらうことで青森を応援してもらえたら」
青森りんこさんの活動内容を見ていくと、YouTubeでのゲーム配信の他、Twitterではハッシュタグ「#青森の魅力1000」で青森の魅力を投稿してもらい、それを紹介する配信もしている。自身のサイト『あおもりもりだくさんっ!』というwebサイトでは、新店情報や青森に関する商品を紹介。【「町おこし」とVTuberの可能性】というタイトルで、議員系Vtuber(現職議員が運営するVTuberアカウント)と対談し、「VTuber × 町おこし」の可能性を話し合う企画も行った。
幅広い活動をする彼女に、直接インタビューしてみたい。そんな思いから記者は、青森りんこさんに突撃取材。新型コロナウイルスの影響もあり、取材はチャットアプリのDiscordを経由して行った。
今の活動をやろうと思ったきっかけは?
地元に帰った時、小さい頃に通っていたお店がなくなっていったり、青森から離れていく人が多かったり、それを見て、自分にも何かできないかな、と考えました。「青森」を全面的に出すよりも、自分を知ってもらい、ファンになってもらう。そして、好きな人が好きなものを応援する、というスタイルで、青森を応援してもらえたら、と思っています。
もともと各種ゲームも得意とする彼女は、麻雀ゲームの配信や麻雀の牌符検討会も配信していた。その中で、自身の知名度をあげるために他配信者が主催する麻雀大会へ参加し、優勝。また、プロ雀士のYouTubeチャンネルで彼女が取り上げられ、登録者数が増えるきっかけにもなった。そういった背景もあり、現在チャンネルの登録者数の半数は、彼女の麻雀に関わる動画から来た視聴者だという。
「地域おこし ✕ VTuber」の可能性を探って
先日、みのりちゃん(議員系VTuber/東京都大田区の区議会議員・おぎの稔氏のキャラクター)とも対談されていましたね。
はい。荻野議員がVTuberになる前から応援してました。
なかなか年齢層の高い方には、地域おこし/まちおこしVtuberの存在自体が知られていません。こういう可能性もある、ということを、今後自治体に資料として提出できるようにしたい、という思いもあって、コラボをさせていただきました。
「青森を応援したい」という彼女の思いは、すでに地元企業とのコラボ企画として実を結んでいる。2020年の今年、開業90年を迎える日本最北端の私鉄・津軽鉄道と青森りんこさんのコラボ企画が進行中。津軽鉄道のキャラクター「つてっちー」とのコラボ缶バッジの販売を始め、津軽鉄道に乗って旅行をしている感覚を楽しめる「バーチャル津鉄旅」、津軽鉄道のレール1m単位でオーナーになる制度を活用し【みんなで青森りんこ区間を作ろう】など、現地へ旅行へ行けないこの状況でも応援できる仕組みがある。
Vtuberになって嬉しかったことは?という記者の質問に、りんこさんはこう答えてくれた。
みんなに応援してもらえるのが嬉しい。みんながいるので、楽しくつづけられています。活動をはじめてまだ1年経っていませんし、そんなに簡単にうまくいく分野だとも思っていません。ただ、少しずつ自分のやりたいことはできているので、ここから自分の活動を広げられるかだと思います。青森といえば、青森りんこ、と思い出してもらえるようになりたいです。
そこに住んでいなくても、地元を応援したい。自分の好きな人の地元や、関係のある地域を応援したい。「ご当地VTuber」は、そんな地域の応援方法もあることを教えてくれる、地域にとって可能性に満ちた存在だ。
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