【東北異景】宮城の戦争遺跡(上)防空壕

わずかに蛇行しながら続く坑道。身を屈めないと天井に頭をぶつけてしまう(佐瀬雅行撮影)
わずかに蛇行しながら続く坑道。身を屈めないと天井に頭をぶつけてしまう(佐瀬雅行撮影)

 この防空壕は旧東北帝大科学計測研究所の資料を保管するために造られたが、湿度が高くて実際には使われなかったという。これほど深い横穴式の防空壕なら空襲に十分耐えられただろう。だが、民家に造られたのは地面を掘って板や土砂で覆った貧弱なもので、その安全性を過信したために多くの市民が犠牲になった。

15㍍ほど進むと坑道がやや広くなり、二手に分かれた(佐瀬雅行撮影)
15㍍ほど進むと坑道がやや広くなり、二手に分かれた(佐瀬雅行撮影)

 わずかな時間、防空壕の内部を撮影しただけで圧迫感に襲われた。空襲が続く中、狭く暗い防空壕の中で身を寄せ合っていた家族の恐怖心は想像できない。71年が経過し、仙台の街が火の海となった空襲の体験者は減り続けている。数少ない戦争遺跡を保存し、貴重な証言や記憶を語り継いでいくことが求められている。

 防空壕を見学する際は予約が必要。連絡先は御嶽三吉神社022(234)4543。

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