日本中で猛威を振るった台風19号。8年前、東日本大震災の津波で被害を受けた仙台市荒浜にも、その影響は及んでいる。スケートボードパーク「CDP」では、台風による雨でパークが冠水。その後も続く雨で水が引かず、10月は営業日の半分以上が営業できない事態になった。
水捌けの悪くなった土地で続く冠水
台風19号から2週間が経過した10月28日、CDPではポンプによる排水作業が続いていた。「周りがかさ上げしている分ウチの土地が低くなっていて、水が集まってくる」。かつての自宅跡で住宅基礎を利用したスケートパークCDPを運営する貴田慎二さんは、こう指摘する。
CDPが冠水の被害を受けたのは今回が初めてではない。2年前の大雨でも、同様の被害があった。東日本大震災で津波の被害を受けた荒浜は、仙台市が災害危険区域に指定し、人の居住を禁止。今後事業者による活用が計画され、土地のかさ上げが進んでいる。
人の営みが無くなった荒浜では、町のライフラインが復旧していない。かつて町の排水機能を担った側溝も震災以降詰まったままだ。そこへ今回の台風19号がやってきた。台風が去った後、パークは半分以上が冠水。その後も続いた雨の影響もあり、28日現在も大きな水たまりが残る。木材で組んだ路面の下も水が抜けない。歩くと路面の下で水が波打ち、染み出てくる。このままでは路面が腐って、使い物にならなくなる可能性もある。
目の前の状況を受け止め、今を肯定
10月、CDPは営業日の半分以上がまともに営業できていない。ポンプを回す電気は発電機によるもので、そのガソリン代もかさんでいる。もうすぐ7周年を迎えるCDPだが、厳しい状況が続いている。
「ブラックバスを放流したら、釣り堀として営業できるっすね(笑)」。最も深いところで30㎝ほどもある、もはや池と言って差し支えない水たまりを前に、しかし貴田さんは、悲嘆するでもなく言う。もともとCDPは、津波で流された貴田さんの自宅の基礎を利用してできたスケートパークだ。CDPの名前の由来となった「Carpe Diem(カルペ・ディエム)」とは、「未来よりも今この瞬間を楽しむ」という意味。その姿勢はパークのオープンから現在に至るまで全く変わっていないようだ。
11月3日には「CDP7周年パーティー」も
現状厳しい状況にあるCDPだが、11月には7周年を迎える。これを記念して、11月3日はパーティーが行われ、当日はパークが無料開放の予定だ。