【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文】ジャズ音楽、特にアドリブ演奏に少しでも近づきたい-。そんなことを考えながらあれこれ試してきました。アルトサックスオンリーに切り替えてから間もなく5年。思いだけではどうしようもないことはあるなあ、と最近は半ば開き直り気味です。それでも音楽が楽しいことは変わらないのだからありがたい。当たり前のことを書いているように思うかもしれませんが、かつては他人事だった「加齢」という、不思議な現象を実地に味わうようになると、夢中になれることが一つでも見えてくると、暮らしの「はり」になるし、何よりうれしいものです。
先日、自室のレコード棚をながめていたら、ピアニスト、レッド・ガーランドトリオの「RED IN BLUES – VILLE」(1959年)が出てきました。サム・ジョーンズのベース、アーサー・テイラーのドラムがサポートに回っています。プレスティッジ盤。
今回、このピアノトリオに引き込まれたのは、B面のラストがW.C.HANDY(コルネット)の名曲「St.Louis Blues(セントルイスブルース)」だったためです。この曲は出だしのフレーズに何とも言えない枯れた色調を感じます。ピアノトリオは3人の演奏者がどんな音を出しているか、聴き分けが比較的容易なので、頭の中を空っぽにして楽しむのに最適です。
YouTubeを検索すると、いろいろな演奏者の作品が出てきました。W.C.HANDY本人がエド・サリヴァンショー(1949年)に出演した際の演奏映像まで見られます。筆者がジャズ音楽に出会うようになったのは1960年代の後半です。ラジオ中心に音楽番組をチェックすることが日課でした。レコードを買うこともたまにはありましたが、まだまだ高価でした。やっと手に入れたレコードの英語のライナーノーツを隅々までチェックし、まるで受験勉強のようなジャズ聴きだったかもしれません。今では、ネットも含めて映像コンテンツに触れることが可能なので、楽しみ方がより豊かになったのは間違いありません。
ブルースの分野は、アルトサックス練習者として、ただいま絶賛聴き直し中。贅沢は言わないのでこの分野だけでも楽しめるようになりたいと考えています。
その点、「St.Louis Blues」は12小節単位の形式をしっかり持った典型的なブルースです。使われているコード(和音)は3つだけの、いわゆる「スリーコードブルース」なので、アドリブソロを聴きながらコードの進行を確認できるほどです。レッド・ガーランドのトリオは、いわゆるソロの掛け合い「フォーバース」まで、ブルースの進行を忠実に表現してくれています。最近は、ライブでもブルースを聴く機会が減ったように思います。ブルースにもいろいろなタイプがあります。若いジャズ演奏者にとってどんな音楽に見えているのでしょうか。興味があります。
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