【詩の連載・手紙】10年遅刻

震災から10年目の仙台からお届けする詩と写真の連載「手紙」。詩人・武田こうじさんの詩に、編集長が写真で返信します。

“10年遅刻”

春の土曜日
初夏の日曜日
そしていつもの月曜日

言葉にしてきたんだ
そっと

心の奥で一人暮らしを始めた
ふつう それはとても小さな生き物だから
思わず「今日って何曜日?」ときいてしまう

思いがけない始まりをいつも期待している
思いがけない終わりをいつも用意している

10年遅刻して見つけた小さな光
声がまた一つ年をとった

“10 years late”

A Saturday in spring
A Sunday in early summer
And a usual Monday

I’ve put them into words
gently

I’ve started to live by myself deep inside my heart
It is usual that it is such a small creature
that it cannot help asking “What day is it today?”

I am always expecting an expected beginning
I am always prepared with an expected ending

A little light that I found 10 years late
My voice has grown a year older

詩:武田こうじ
写真:安藤歩美(仙台市若林区荒浜)

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