むすび丸そっくりの「むすび丸カクテル」開発への苦労と思いを聞いた

【安藤歩美】先日、JR仙台駅近くのホテルメトロポリタン仙台のバー「ナイト」を訪れた。「ウイスキー」「ビール」「ジントニック」…どれにしようかとメニュー表を眺めていると、カクテルの欄の最後に、なぜか「むすび丸」との文字がある。

お米つながりで、日本酒ベースのカクテルということだろうか?好奇心に駆られて注文してみると、運ばれてきたのは想定していたよりもはるかに「むすび丸」なカクテルだった。

白い顔の部分がお酒のシャーベットでできた柚子味のフローズンカクテルで、三日月の前立てはモモ、目はブルーベリー、口は巨峰を半分にしたもの。その完成度の高さに感動した記者は、後日「むすび丸カクテル」を開発したバーテンダーの方々に取材を申し込み、カクテル開発への苦労や思いを伺った。

「思いついたとき、体に電気が走りました」

ホテルの担当者によると「むすび丸カクテル」が誕生したのは今から12年前のこと。当初は2008年の観光キャンペーン「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)」を盛り上げるため、二カ月間限定のカクテルとして誕生したそうだ。2013年4月に再度同キャンペーンが開幕した際にメニューとして復活。以来通常メニューとなり、仙台に来た観光客や出張客を楽しませている。

当時バーテンダーとしてこのメニューを考案した、現フロント副支配人の熊谷和幸さんは「仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに合わせたメニュー開発に頭を悩ませていたとき、県のHPやさまざまな情報誌、どこにでも顔を出していたのが、伊達政宗と米どころ宮城のおむすびを合わせたキャラクター『むすび丸』でした。これをフローズンカクテルにして顔を作れたら?思い付いたとき体に電気が走りました」と振り返る。

アイデアを形にする上では、「フローズンがやわらかすぎると目が沈む、固すぎると味がしない、味と固さのバランスをとることが非常に難しかった」という。使用するお酒や味にも試行錯誤を重ね、完成したのは、伊達政宗が幼少期に育った岩出山の日本酒に柚子、少量のライムと砂糖を加えた一杯。宮城の魅力が詰まったこのカクテルは、2010年には日本ホテル協会東北支部のカクテルコンテストで最優秀賞を受賞した。

楽しむポイントは「すべて表情が違うところ」

バー「ナイト」支配人の戸村嘉宏さんは「数あるカクテルの中でも、顔がある珍しい1杯」と、このメニューの面白さを語る。「顔のパーツは生のフルーツを使用しているために個体差があり、形や大きさがその都度違います。それらを毎回組み合わせるので、同じように仕上げても不思議とどこか違った表情に見えます。SNSなどで事前に見た画像のむすび丸と、当日ご自分の目の前に現れた、生のむすび丸の表情の違いを楽しみながらお召し上がり下さい」

バー「ナイト」では新型コロナウイルス対策として消毒や飛沫防止対策を強化するほか、座席を間引きする、ドアを常時開放で営業するなどの施策を徹底して営業している。戸村さんは「今回の、1杯のカクテルをきっかけに足を運んでいただければ幸いです。5人のバーテンダーがお待ちしております」。熊谷さんは「写真を撮っていただき、どこかで、誰かと、話のネタにしていただける。そんなことがあったら、明日も頑張れます!不思議なもので、一杯一杯本当に表情が違います。ぜひ、繰り返し召し上がってください」と、メッセージを寄せてくれた。

バー「ナイト」
仙台市青葉区中央1-1-1 ホテルメトロポリタン仙台1階
営業時間:18:00〜23:00

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