【詩の連載・手紙 #4】てがみ

震災から10年目の仙台からお届けする詩と写真の連載「手紙」。詩人・武田こうじさんの詩に、編集長が東北各地で撮影した写真で返信します。

“てがみ”

ときのながれにそっと
てをのばすように
すなはまにゆれる
いっぽんのき

ことばにできない
そんなことばにかこまれて
まちはないた

あれもこれも
あいしていた

あのひから
わからない
くりかえし
てがみをかいている

ここであなたとであい
ここであなたとくらし
ここであなたにふれる



“Letters”

One tree, waving on the beach in silence,
Reaching for something in a river of time.

Surrounded by words, unable to speak,
The town cried.

This, here; that too –
I love so many things.

Since that day
I don’t know anything.
I just endlessly write a letter.

I met you here.
Our lives are here.
I feel you here.

詩:武田こうじ
写真:安藤歩美(仙台市宮城野区蒲生)

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