【写真と詩の連載】もうちょっと後で光って #8

仙台在住の詩人・武田こうじさんによる写真と詩の新連載「もうちょっと後で光って」。TOHOKU360にて2020年5月より、週末に掲載しています。

9月26日(土)から来年の1月31日(日)まで、せんだい3.11メモリアル交流館で『うみべの小学校』という企画展があります。この企画展にぼくはかなり関わらせてもらっていて、内容の構成案、関係者を取材しての文章、そして、詩を寄せています。

具体的な内容は―沿岸部にあった中野小学校、東六郷小学校、荒浜小学校の3校は震災後、生徒数の減少などの理由から、統合・閉校となってしまいました。地域の方たちの言葉で「小学校は町の象徴だった」というのがあり、そういう意味でも小学校が閉校するというのは、ふるさとの喪失といえるのではないか、と考え、3校の想い出といまにふれながら、これからの町を考えていく―というものです。いろいろな方のお話を聞きながら、展示を構成しています。ぜひ、ぼくの言葉と合わせて、見ていただけたらと思います。

みなさんから小学校の話を聞くのは、とても楽しく、自分の子どもの時のことも思い出しては、それをまた、他の仕事で会った人とも話したりして、その方の子どもの頃の話にもなったりと、いろいろと盛り上がっていました。ただ、そうなると・・・どうしても「昔は良かった」という話になってしまいます。なるべく、そういう展開にならないように、普段から気をつけてはいるのだけれど、小学校の話となると、それは難しい(昔の話だから当たり前ですが)。そして、なんで「昔はよかった」と思えてしまうのか、そんなことも最近はよく考えています。

ついつい、そんな話を繰り返ししてしまう日々ですが、もしかしたら、展示を見たあなたもなにかを話したくなるのではないでしょうか。展示の最後には参加型のものもあるので、ぜひ、あなたの小学校の話、聞かせてください。  

といっても、いまの小学生たちをぼくはいろんな意味でリスペクトもしています。というのも、ぼくの活動は小学校や児童館に行くことがけっこうあって、そこで友だちになる子もいて、その子たちからいろんなことを教えてもらっているからです。とくにゲームやまんが、アニメにぼくは疎いので、そのあたりはかなり情報をもらっていて、如何にこの国のカルチャーがその分野からの影響が大きいかを知ることにもなります。ただ、仲良くしていても、どこかでプツンとあっけなく関係が切れてしまうのも、小学生ならではです。それはいつもさみしく、悲しいのだけれど、まさに「魔法が溶けた」という感じで、仕方がないのでしょう。もしかしたら、それは日々の変化の中にあることなのかもしれないから、家族であれば、とくに意識しないことなのかもしれませんが、ぼくは約束をしないとみんなと会えないので、その約束があっけなく終わってしまうというのは、なんとも言えないものがあります。

もうかなり前になりますが、こんなことがありました。それは、ぼくがある児童館に通い始めて、みんなで詩をつくったりしていた頃の話です。途中で女の子2人に外に呼ばれ、ちょっと離れた草や花があるところに連れていかれました。その時、その子たちに「ここ見て。すごいから」と言われて見ると、たくさんの四つ葉のクローバーが生えていたんです。それはほんとうにすごくて、「なんで、こんなに四つ葉のクローバーが生えているの?」と聞いても「わからない。でも私たち2人で見つけたの。誰にも言っちゃダメだからね」と言われるだけでした。それからは、よく3人でそこで遊び、いろんな話をしました。

それから、どれくらい時が経ったのか、はっきり覚えてはいませんが、ある時、その場に1人で行ってみると、四つ葉のクローバーがまったく生えていなく、どんなに探しても、葉は3枚のものばかりで、焦って、場所を間違えたのかなと思い、まわりも探したのですが、やはり見つからない。「どうして?」と思っていると、その2人が来たので、「あの場所、四つ葉のクローバーがなくなっちゃったんだけど・・・」というと、2人はなにを言われているのかわからないといった表情をして「どこの話?」。「えっ、この前まで一緒に遊んでいた、あの場所だよ」と言っても「そんなところ知らない」「四つ葉のクローバーがたくさんある場所なんて知らない」と言うのです。

その日から、その子たちはぼくのところに来なくなりました。それはなにかあって、離れたというよりは、まるで以前からぼくのことを知らなかった、という感じでした。

そんな感じでいつ会ってもらえなくなるかわからないけれど、いまもみんなに遊んでもらっています。こんな話はほかにもいろいろあるので、またの機会に。

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