【渡邉貴裕通信員=宮城県仙台市】2018年7月8日、仙台市若林区の「海岸公園冒険広場(愛称:ぼうひろ)」が東日本大震災以来7年4ヶ月ぶりに本格的に開園を再開した。日帰りで利用できる「デイキャンプ場」、子供たちが自由に遊べる「冒険遊び場(プレーパーク)」、坂を登って高台のある「大型遊具広場」と、仙台市による海岸公園の整備によって3つに複合された公園となっている。
かさ上げ工事の続く沿岸部に響く、子どもたちの賑わいの声
仙台平野の海に面した沿岸部は嵩上げ工事の真っ只中にある。工事用車両の出入りも絶えない。岡田、荒浜、井土、藤塚の4地区に沿って流れる貞山堀のなかでも比較的新しい、新堀。堀に沿った荒浜のやや南側にある井土地区が、賑わいを取り戻していた。
再開から約一週間が経った、7月14日。うだるように暑い日差しが照りつける炎天下の中、暑さに負けないほどの子供たちの歓声が響き渡っていた。デイキャンプを楽しむ人、豊富な遊具で遊ぶ子供たちのようすが見られ、金具の音が響き渡ったり、水遊びをする子供たちの姿があったりした。高台を登ると、四方八方には広い海、荒浜小学校、名取市閖上、仙台市街と周辺の山々が見える。沿岸部の再生する様子も窺える。
遊びを通じた「心の復興」をめざして
再開までの道のりは平坦ではなかった。「せんだい・みやぎネットワーク」のプレーリーダー理事の根本暁生さん(45・仙台市若林区)は「被災直後、手つかずの状態だった」と、当時を振り返る。東日本大震災の被災で2005年の開園以来経験したことのない事態に遭遇し、周辺の住民の多くも、避難所、仮設住宅、災害公営住宅などと移住せざるを得なくなった。
その中で、子供たちへの心のケアは欠かせなかった。震災後1年間の3回にわたる臨時開園や、巡回型で遊具などの遊び場を提供をして、子供たちを支援していた。遊びを通しての心の復興支援に極力努めてきたのだ。
震災復興支援のニーズが移り変わっていく中で、住民同士が離れ離れになっても新たな地域で関わりをつくりやすい環境づくりや、いじめや貧困などの課題に関する問題に立ち向かおうとする姿勢も伝わる。子どもたちが「地域の方々や違う世代と関わりながら遊んでほしい」との思いから、根本さんは「遊び場が広がってほしい」と、再開したこの公園に期待を込めている。