【高校生記者がゆく】私たちが出したプラスチックゴミはどこへ?そのゆくえを追った

高校生記者がゆく!】仙台市の高校生が記者となり、高校生目線で地域の魅力や課題を発信する連載。宮城野区中央市民センターのプロジェクト「まいぷろ」に所属する高校生たちが地域の気になる人やテーマを取材し、全国に発信します。

中村巴春、玉澤美咲、田村結花、宮城春咲、菅原一朗(高校生記者・尚絅学院高等学校)】 今まで私たちが出したごみはいったいどこへ行くのだろうか。燃えるごみは、焼却炉に行き焼却処分されることが予測されるがプラスチックのごみはどうだろうか。そんな考えのもと、仙台市宮城野区港にあるJ&T環境株式会社へとお話を伺いに行った。 

毎日60台もの収集車がプラごみを搬入

J&T環境は、横浜・京浜・東京・千葉・福山・仙台・札幌地区の7拠点で廃棄物のリサイクル事業を展開している。仙台拠点では、仙台市全体のプラスチックゴミを処理している。約14000㎡の広い工場には収集車が毎日約60台もやってくる。

私たちは実際にJ&T環境へ赴き工場を見学した。この記事では特に印象に残った二つの施設を紹介する。 

一つ目はベール化施設だ。ベール化施設とは、回収したプラスチックゴミを破袋、選別、圧縮し、異物を取り除いて分別適合品の「ベール」と呼ばれる俵状の物を製造している。ベールとは収集したものを圧縮し、結束材で梱包して俵状にしたものだ。取り除いた異物が回収されている不適物の中にドライヤーやダンベルなどが入っており驚いた。

二つ目はパレット製造施設だ。再生資源として製造したリサイクルプラスチック原料を利用して、物流資材として使用されるプラスチックパレットを製造している。見た目は黒く四角い物体で、実際に触れてみたところとても固かった。エコマーク認定の環境に配慮したリサイクルパレットだ。

プラごみから月間3万枚ものパレットを製造

J&T環境仙台事業本部の佐伯靖浩さんにインタビューしたところ、リサイクルの仕組みを詳しく知ることができた。

工場は2000年に作られた。2023年4月にはプラスチック資源循環促進法(プラ新法)によりプラスチック100%であれば赤のプラスチック製容器包装のごみ袋に入れて捨てても良くなった。認定を取得すると従来のプラスチック製容器包装(容リプラ)に加え、その他のプラスチック使用製品(製品プラ)も一括して分別収集を行うことが可能となる。J&T環境は仙台市のパートナーとして全国第一号となる認定を取得し、仙台市内のプラスチック資源全量の再商品化を実施することになった。

集められたごみは、人の手でごみの分別をしていた。人の手で取り切れなかった金属は大きな磁石で取り除いている。またプラスチックリサイクルの段階別で、様々なリサイクル商品に姿を変えるそうだ。リサイクルの第一段階であるベール化工場で回収された赤い袋は、私たちが小学校や中学校の地域清掃で使っているプラスチック100%のごみ袋の原料だ。

最後の段階であるパレット工場では、月間3万枚ものパレットが作られている。収集されたプラスチックは約半分がパレットとして製造され、パレットにならないプラスチックはRPFという固形燃料としてリサイクルされている。

パレットの原料として使用できるものとできないものの区別は、水に浮くものと沈むものがあるという性質を用いて行っている。浮いたものはPE・PPと呼ばれるもので、パレットの原料として使用される。沈んだものは固形燃料の原料として使われている。固形燃料は性質を安定させるために畳を使っている。使うようになったきっかけは、東日本大震災での災害廃棄物である畳の処理を始めたことだ。困っている人の役に立ちたいという姿勢に感動した。J&T環境では他県や近隣企業との協力を通じて事業を展開している。

プラスチック以外のごみ処理も念入りに

今は使用率が低下しつつある蛍光灯の処理は特に注意深く行わなければいけないそうだ。その理由は、蛍光灯に入っている蛍光粉には水銀が少し入っているため、処理の際は活性炭フィルターで無害化し空気の外に出ないようにしている。法律(大気汚染防止法 他)の一つに、水や空気を汚してはいけないという決まりがある。

さらに機密文書の処分の保護も徹底しており、施設には限られた人しか入れない。「住民のことを考えて仕事をしている職員の方々の姿勢に私たちも見習わなければならない」そう考えさせる一日であった。

持続可能な社会を目指すために

プラスチックの分別収集を行い、第1段階のベール化をし、第2段階の再生処理を行い、第3段階の最終製品製造として、J&T環境ではパレットに生まれ変わる。また一般企業に原料として提供しティッシュボックス、プランターなどに生まれ変わる。ティッシュボックスはインターネットで販売されており、プランターは、市内小学校で環境教育に利用されている。リサイクルされたプラスチックで作られているため、現在は色の種類は限られているがとても環境に優しい商品となっている。

J&T環境では、エコで地球にやさしい活動を行っている。燃えるゴミとプラスチックを分別してゴミを出すことは大切だが、佐伯さんは「プラスチックごみか燃やせるゴミか悩んだら、赤い指定の袋に入れることでリサイクルできる可能性は高くなるので、袋にいれてほしい」とおっしゃっていた。ただ処理するだけでなく、リサイクルにも力を入れているのだともっと多くの人が知り、この活動に貢献してほしい。

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