秋田県南部に位置する湯沢市で、22日から24日まで若者と音楽の祭典「第4回湯沢ストリート村」が開催される。若者が流出し、過疎化が進むこの街で開かれる「若者のための若者の祭り」だ。この祭りは、昨年副市長がラップを歌う動画を公開し、話題を呼んだ。今年もパワーアップした「副市長ラップ」を公開した湯沢副市長と、主催者にこのイベントに賭ける思いを聞いた。(中野宏一・吉田かずなり)
俺は茨城生まれ、湯沢副市長。あばよ総務省」
今月8日に公開されたPR動画「副市長ラップ2016『湯沢ストリートブラッ!! 改』」。動画冒頭で湯沢市の藤井延之副市長(34)が、湯沢特産の日本酒の瓶を持って登場する。オレンジの縁のサングラスを掛けて、ノリノリだ。昨年公開された「副市長ラップ」第1弾では、副市長執務室で「俺は茨城生まれ、湯沢副市長。あばよ総務省。イエッセッショー」とストリート系ファッションで熱唱していた。
齊藤光喜市長も「湯沢弁ラップ」熱唱
藤井副市長は、総務省から出向中のキャリア官僚で、昨年4月から湯沢市副市長に着任した。着任早々、「湯沢ストリート村」PR動画の出演者を探していた実行委員会委員長の藤田一平さん(32)と会い、出演依頼を受けた。出演を決めてから、公務の間にブツブツと練習していたという。
昨年の副市長ラップ公開後、メディアで大きな話題を呼んだ。バージョンアップした今年の動画には齊藤光喜・湯沢市長(70)も登場。「わげもの、湯沢さ、来てたんしー」(若者、湯沢に来てくださいね)とラップを熱唱している。イベントも今年から道の駅おがちに併設されている小町の郷公園に移し、入場無料となる。「3000人は集めたい」と藤田さんは期待する。特産の日本酒を秋田美人が振る舞うコーナーも設けられる。22日夜には副市長がライブでラップを熱唱する予定だ。
「シャッター街に再び賑わいを」
湯沢市は、20代から30代までの若者の人口流出が著しく、若者をどう引きつけるかが街の課題だ。「湯沢ストリート村」の実行委員長を務める藤田さんは、湯沢市生まれで、東京などで働いた後6年前にUターンした。実行委員会副委員長を務める高橋大輔さん(30)も、東京で働いていて、湯沢に戻ってきて、カフェを開いている。
湯沢にUターンして来たきっかけについて、高橋さんは、こう語る。「東京で働いていた時に、会社の先輩達に湯沢を案内する機会があった。かつて自分が過ごした街の中心の『サンロード』という駅前商店街が、ほぼ全てシャッター街になっていて、先輩たちに『全然サンロードじゃ無いじゃん』と言われてしまい、悲しかった」
高橋さんは、シャッター街になってしまった『サンロード』の中心に「カフェラウンジ17」をオープンし、湯沢の街に賑わいを取り戻そうと奮闘している。「湯沢の人は中に閉じこもってしまいがちなので、カフェの中で何をやっているのか分かるように、店は全面ガラス張りにしました」。藤田さんや高橋さんは、「湯沢ストリート村」を若者のためのイベントにして、この街に若者を取り戻すきっかけにしたいと話した。