コロナ禍でも子どもたちに遊び場を「東⼝ゆうえんち」を企画する学生・スタッフの思いを聞いた 仙台

久保和輝】新型コロナウイルスの影響で、地域社会のつながりや⽀えあい機能の弱体化が問題になっている。そんな中、仙台市宮城野区の榴ケ岡市民センターでは15年以上続く地域の子ども向け講座「東⼝ゆうえんち」 の企画「榴岡公園クエスト」を昨年11月、感染対策を徹底した上で開催した。イベントの直前、「榴岡公園クエスト」 を準備していた企画員の佐藤健⼀さんと東北⼯業⼤学の学⽣さんたちに、活動に参加する思いを伺った。 

学校では経験できない遊びで、地域とつながる 

榴ケ岡は仙台駅から1kmほどの距離にある都⼼部だが、⼦どもの遊び場がある榴岡公園があり「⼦育てしやすい」という意⾒も多い。その榴岡公園で開催される「東⼝ゆうえんち」は2006年度から始まり、今年度で16年⽬となる。同年代だけでなく、年齢や学校の違う⼦どもたちがスタッフと共に、家庭や学校では経験できない遊びを通して社会性や公共性を⾝につける場となっている。 

「コロナ禍でもあるからね。⼦どもたちが少しでも楽しめる場所をつくってあげたい」と企画員の佐藤さんは笑顔で話す。 

お話を伺った企画員の佐藤健⼀さん(写真手前)

コロナ禍でも、子どもたちが楽しめる遊びを

今回の「榴岡公園クエスト」は「東⼝ゆうえんち」のイベントの企画の⼀つで、榴岡公園の活⽤を⽬的に4年前から開催されている。公園内に隠された指令書をヒントを頼りに探しだし、仲間と協力してゴールを目指す。ほかにもダンボール迷路・お化けやしき・ 料理体験の企画があり、発⾜当初から⻑年継続していたが、新型コロナウイルスの影響で昨年度からこの3つの開催が中⽌となった。その理由は、密になる危険性や換気の難しい閉鎖空間をつくってしまうイベントになるからということだった。 

「迷路やお化け屋敷は『密』な空間になってしまうからね。何とかコロナ禍でも⼦どもたちが楽しめることができないかと掛け合った時に、『榴岡公園クエスト』なら唯⼀出来ると話が通りました。どうやったら⼦どもたちを楽しませられるだろう。と考え出すとワクワクが⽌まりません」と、佐藤さんは誰よりも楽しそうに話す。 

榴岡公園クエストで登場する「館⻑ロボ」作成する佐藤さん(写真左)

学⽣から社会⼈になってもサポートを続ける

16年続く「東⼝ゆうえんち」は元々、東北福祉⼤学の学⽣たちのアイデアから⽣まれたものだという。そこからクチコミが広がり、さまざまな学校の学⽣が企画員としてサポートしてくれるようになった。今回のイベントでは東北⼯業⼤学の「環境サークルたんぽぽ」 に所属している学⽣たちが⼿伝いに駆けつけた。 

「環境サークルたんぽぽにいる先輩⽅からのお誘いが参加のきっかけです」と、キラキラ輝いた⽬で話すのは学⽣の津⽥直也さん。「⼦どもが楽しんでもらえることが何より⼀番です。そのためなら何でもやりたくなるし、そうやって⼀緒に楽しそうに運営している先輩たちを⾒てきました」と、ニコニコと話す。 


お話を伺った環境サークルたんぽぽの津⽥直也さん(写真左) 

⼤学を卒業してもなお、後輩の学⽣たちとともに「東⼝ゆうえんち」のサポートを続ける⽅もいる。「どういう形であっても、⼈の役に⽴つ、⼈を喜ばせることは楽しいですよね」と照れくさそうに話すのは、東北⼯業⼤学の元学⽣である⼭⼝拓也さんだ。 

「社会⼈になっても休みの⽇にはこうしてサポートに来てしまいます。企画員の⽅や⼦どもたちと仲良くなっちゃうと離れられないですよね。こうやって後輩も来てくれるし、⾃分の活動に賛同してくれているのは嬉しいことです」

お話を伺った元東北⼯業⼤学の⼭⼝拓也さん 

知恵を絞って、地域に楽しい企画を

新型コロナの影響を受けながらも、佐藤さんは新しい企画を考える。

「東⼝特撮⼯房と題して、段ボールで街並みを作って、⼦どもたちに⾒せてあげたいです。ビル、家、道路、看板などなど、榴岡公園クエストが終わったら具体的な試作をやろうと決めています。また、来年はぜひとも”⾷べる”系の企画を復活させたいです。『東⼝拉麺』、ぜひやりたい。 密にならない”迷路”、密にならない”お化けやしき”……コロナがあっても知恵を絞って、楽しいイベントがまたできたらなぁ、と思います」

今回準備に参加した企画員の皆さん 左から、津⽥直也さん・⾼橋尚也さん・芳野友愛さん・⼭⼝拓也さん

この記事はTOHOKU360と宮城野区中央市民センターとのコラボ事業「東北ニューススクールin宮城野」の参加者が執筆した記事です。宮城野区の市民活動を取材した参加者たちが、地域の課題に取り組む人々の活動や思いに迫ります。

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