なぜ、調剤薬局がパソコン教室を開いたのか? 宮城・ゼルコバの挑戦

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【PR記事】宮城県仙台市と柴田町で調剤薬局を展開する株式会社Zelkova(ゼルコバ)は2018年4月、柴田町西船迫にパソコン教室「いこいば」を開いた。会員だけでなく、地域のさまざまな人たちが楽しめる工夫をこらした教室は、町に少しずつ笑顔を広げている。調剤薬局が地域の憩いの場を開いた背景には、ゼルコバ創業以来の理念と、薬剤師として医療福祉の現状を見てきた運営者の「薬局として、地域にもっと寄り添いたい」という願いが込められている。

いこいばの運営にあたる越川慶子さん

自由なプログラムに多彩な学びと楽しい時間

「いこいば」には現在、40〜70代の男女が、それぞれの学びたいことを習いに集まっている。講座の内容は、パソコンの基本的な使い方だけでなく、デジタルカメラの写真講座、アルバム作り、「脳トレ」など多彩。パソコンだけでなく、ハンドメイド作品を作るコースも用意し、好評を得ている。プログラムは会員の希望に応じて柔軟に組まれ、営業時間中ならば好きな時間に習いに来ることができる。

いこいばの会員名簿には、スタッフが日々の様子を詳細に書きとめており、会員との楽しいやり取りが多く記録されている。お米や果物を持ってきてくれる人、放置していたパソコンに5年ぶりに挑戦した人、孫のためにパソコンで絵を描こうと奮闘する人、「中には、おしゃべりだけして帰ってしまった方もいますね」と越川さんは笑う。

会員の作品。それぞれが学びたい課題に取り組んでいる。

越川さんは、いこいばをもっと活性化しようと、さまざまな工夫を凝らしている。パソコンを使わない、ハンドメイド教室の開催もその一つだ。手先が器用で手作りすることが好きな越川さん自らが企画し、スタッフにも教室に通ってもらうなどして、「糸かけ曼荼羅(まんだら)」などの教室を開講。イベントでは会員以外にも教え、多くの人に喜ばれている。

さらに越川さんは、壁に掛けて飾るフラワーアレンジメントの一種「カレイドフレーム」に興味を持ったものの、教える人が東北地方には見当たらないと気付き、横浜市まで出向いて認定講師の資格を取得。満を持してメニューに加えた。「みんなが好きそうだなと思ったので」と笑うが、会員や地域の人を喜ばせたいという熱意はとどまるところを知らない。

「みんな喜ぶかな」と、自信作のカレイドフレームを手に微笑む越川さん

「教わる」だけでなく「教える」ことで得られる実感

いこいばが通常のカルチャー教室と大きく異なる点は、会員とスタッフの関係が一方通行ではないところだ。普段はパソコンなどを「教わる」会員が「教える」側になって活躍する場も積極的に設けている。

植物をガラス瓶に入れて飾る「ハーバリウム」の教室は、ハーバリウム製作が得意な会員が講師を務め、大好評だった。この会員は、クリスマスを控えた12月にキャンドルづくりの講師も担当。教えられる側だけでなく、教える会員側の楽しそうな様子も、越川さんの印象に残っているという。

さまざまな人生経験を重ねている会員には、それぞれが得意分野を持っている。越川さんは今後も、会員が講師となって活躍できる講座を企画したい考えだ。

さらに、認知症と診断された人が先生として得意なことを教え、活躍できる場にする構想も描く。多くの場合、認知症が進むと家にこもりがちになり、支援の手も傾聴などに限られる。越川さんは「認知症になったとしても、誰にも得意なことはあるはず」とし、「教わるだけではなく、教える側にもなることで、社会に必要とされている、認められていると実感を得られる場所にしたい」と言葉に力を込める。

ハンドメイド教室で好評の「糸かけ曼荼羅」

薬局本来のあり方を求め、憩いの場は生まれた

文字通り、地域の憩いの場として定着しつつある「いこいば」。薬局の運営会社であるゼルコバが、本業とは異なるパソコン教室を開いた背景には、ゼルコバ創業以来の理念と、薬剤師として医療福祉の現状を見てきた越川さんの願いが込められている。

ゼルコバは、仙台市と柴田町の既存薬局の事業を承継する形で2015年に創業した。ゼルコバは宮城県の県木、ケヤキを意味する。大きな木の下にさまざまな人が集う場、コミュニティをつくりたいという理念のもと、「いこいば」は構想された。

介護予防の重要性が叫ばれる中、薬局は「薬を提供する」だけでなく、自ら地域に出向いて住民との接点を増やし「地域包括ケアシステム」の一翼を担うべきとの考え方を具現化したものである。

越川さんは「今と一昔前では、薬局のあり方が変わってしまった」と指摘する。多くの医療機関が自ら薬を処方するのが主流だった頃は、どこの地域にも昔ながらの「まちの薬屋さん」があり、薬品の販売だけではなく、地域の人たちの健康相談なども担っていた。

ところが、大型のドラッグストアの台頭などで「まちの薬屋さん」は大幅に減少する一方、「院外処方」を行う医療機関が主流になったことで、病院に隣接して処方せんを扱う調剤薬局が急増。こうした調剤薬局でも、国は服薬指導を中心とした健康相談に力を入れるように求めているが、多くの人にとって薬局とは「薬を受け取るだけの場所」になっていると越川さんは現状を憂う。

「薬局とそこで働く薬剤師は本来、地域の人たちの健康に寄り添う存在だったはず。なんとかして現状を変えたい」。越川さんは、服薬指導よりも踏み込んで、薬局の利用者をはじめとする地域の人たちと日常的にコミュニケーションを取れる場所をつくろうと願ってきた。その願いを「いこいば」という形で結実させたのである。

薬局本来のあり方を求めてつくられた「いこいば」

さらなる地域貢献を目指し、歩み続ける

いこいばの開設から約1年。越川さんは「地域の人たちの人柄や得意なことなどは、薬局にいただけじゃ分からなかったこと。地域との距離は着実に近づいている」と手応えを実感している。一方、会員をもっと増やし、より多くの人たちと関係を作っていきたいという思いは強く、「お茶を飲みに来てもらえるだけでもいいんだよって、地域の皆さんに知ってほしい。私たちだけでは限界もあるので、行政や他の企業、地域のサークルなどとも連携して活動を広げていきたい」と展望を語る。

また、仙台市青葉区の薬局に併設する形で新たな「いこいば」の開設も考えている。小児科に隣接した薬局のため、ターゲットは若いお母さんたち。柴田町のいこいばで好評の手作り教室を中心に、都市部で孤立しがちな子育て世代にとってのコミュニティ拠点になることを目指している。

調剤薬局の運営会社、ゼルコバが開いた「いこいば」は、地域に根ざし、地域の人たちの健康に寄り添うという、薬局本来の使命を追求した結果生まれた。少しずつではあるが着実に、町の人たちに活力と生きがいを与え、越川さんの熱意によってさらなる広がりを見せようとしている。

小さな憩いの場から、さまざまな人や機関が手を携え、皆が元気に暮らしていく地域をつくる未来を思い描きながら、ゼルコバ、そして越川さんは歩み続けていく。

パソコン教室 いこいば
宮城県柴田郡柴田町西船迫1-6-7-102
TEL 0224-51-9211

株式会社Zelkova
代表取締役 清水 幸一
宮城県仙台市青葉区上杉1-12-20グランデージ上杉103号
TEL 022-397-7264


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