仙台で本場の台湾料理が味わえる「香満楼」を、台湾出身の通信員が取材した

邱文心=仙台市】北仙台駅に近く、通町にある「香満楼(コーマンロー)」は、台湾出身のオーナー・連(レン)滄龍さん(59)が台湾本場の味を提供している台湾料理の店だ。本場の台湾料理にこだわって仙台に18年前からお店を構える連さんに、料理に込めた思いを聞いた。

仙台で「台湾料理」にこだわって18年

連さんは1989年来日して以来、料理の仕事に携わってきた。最初は茨城、その後、長野、東京、鹿児島とさまざまな場所で経験を積んだ後、2002年に仙台市青葉区本町で妻・譚(タン)琳琳さんと一緒に「香満楼」を開店。2015年に通町に移転した。

「なぜ中華料理をやらないの?」店を開いた当時よく聞かれる質問だった。「俺は台湾人だから台湾料理をやるのは当然でしょ」と連さんは言う。店が始まった18年前の日本は、今のような「台湾ブーム」はなかった。台湾人が店を開いても「中華」「中国」の店名を付けた方が売れやすかった時代に、連さんは本当の地元の味を食べてもらいたくて、100品以上の「台湾料理」の提供を続けてきた。

オーナーシェフの連さん(右)と妻の譚さん(左)

日本人も台湾人も楽しめる台湾料理店を

テレビや雑誌などメディアの影響で、日本人にとって台湾料理といえば「小籠包」のイメージがある。しかし、「仙台に住んでいる台湾人が来たら、一番人気なのはやはり牛肉麺と魯肉飯(ルーローハン)だよ」と、連さん。牛肉麺は煮込んだ牛肉とスープ、小麦の麺で作られた麺料理で、味があっさりして食べやすい。魯肉飯(ルーローハン)は砂糖と醤油で煮たとろとろの豚バラをたっぷりとかけた丼だ。台湾料理は八角など香辛料のほかにも砂糖を使うことが特徴で、日本の中華料理店では食べられない味だ。

魯肉飯(ルーローハン)。バラ肉など脂身を多く含んだ豚肉を台湾醤油や砂糖や八角や油葱酥 (揚げた赤ネギ)など食材で甘辛い煮汁で煮込だかけご飯
菜脯蛋(ツァイプータン)。台湾風干し大根と玉子焼き
蘿蔔糕(ルオボーガオ)。大根、炒めた豚ひき肉・ネギなど具を水で溶いた米粉と混ぜて蒸した食べ物

本場の台湾料理にこだわる「香満楼」だが日本人の好みに合わせ、より多くの人に台湾料理を好きになってもらえるよう工夫をしている。例えば日本人が苦手なパクチーを使わず、日本人に馴染みのある焼き餃子やシュウマイなどのメニューを提供。お客様の要望によって限定メニューを作ったり味を調整したりして、日本人でも台湾人でも楽しめる台湾料理店を目指している。

最近では小籠包やタピオカなどの台湾ブームのおかげで日本人の台湾料理への関心も増してきたが、「香満楼」は流行にとらわれず、これからも仙台で本場の味を提供していく。「まだまだやるよ」。連さんはそう意気込みを語った。

香満楼
住所 仙台市青葉区通町1-6-12第2後藤ビル1階
営業時間 11:00〜14:00、17:00〜22:00
定休日 年末年始
電話 022-274-8090

この記事はTOHOKU360とYotsuya Canalが今年2月に開いた「東北ニューススクール in 八幡町」の受講生の記事です。受講生たちが独自の視点から、歴史と伝統が根付く「八幡町」周辺のまちの魅力やユニークな人、活動を掘り下げて取材・執筆していきます。