【北村育美】仙台市内に身近に行くことができる小さな森があるのをご存知でしょうか。「枡江の森(ますえのもり)」といって、仙台市宮城野区幸町の枡江地区にその森はあります。昨年11月20日には、「森においでよ!森に親しむ!森で楽しむ!」と題して『秋の森あそびとかまどでたき火』が行われました。
仙台市内に小さな素敵な森があるんです
朝から幸町市民センターに子どもたちの元気な声が響き渡り、小学生24人が参加しました。枡江小学校の裏手に位置した森は授業などでも使用しているとのことで、子どもたちが作成した看板が所々にあり、一生懸命書いたのだろうなとほほえましくなりました。ちょうど紅葉が終わりかけた時期の森は落ち葉が降り積もり、子どもたちが通るとカサカサとよい音が鳴っていました。
森の中の子どもたちは元気いっぱい
この日は、秋の森あそびとして、花炭づくり、フィールドビンゴ、枡江小学校のかまどを活用したやきいもづくり、マッチに火を付ける体験が行われました。筆者も一緒に参加させてもらったのですが、森のあそびがいっぱいの充実した内容でした。中でも印象的だったのが、森の中での子どもたちの様子です。一緒に歩いていると興味のあるものがたくさんあるようで、なかなか前に進みません。じっと見たり、さわったり、上に乗ったり、とにかく忙しく、森と会話しているようでした。
最後に子どもたちは「木を拾うのが楽しかった」「森のビンゴで色々探して楽しかった」と感想を話してくれました。また、できあがったやきいもをほおばりながら「やきいもって不思議。焼くと甘くなる」とおいしそうに話してくれた子もいました。幸町市民センター館長の髙倉祐一さんは「子どもたちがこんなに集まるのは久しぶりで、こちらも楽しかったです」と笑顔で話しました。
森の魅力を発信する市民企画員の取り組み
今回の企画は、枡江の森魅力発信プロジェクトの6人の市民企画員のみなさんが中心となって進めてきました。同プロジェクトは、幸町市民センターの5年間の事業として2018年から始まり、 枡江の森を地域住民の憩いの場として盛り上げようと、市民企画員がイベントの企画・運営・報告を行っています。代表の保坂和博さんは「最初はどう進めればよいかもわからず、幸町市民センターと協力し、試行錯誤してここまでやってきた」と振り返ります。まずは森の達人となって枡江の森の魅力を発信することを目標に、1年ごとに目標を持ち活動を続けてきました。森だけではなく、地域の歴史や地理などの勉強もしています。
5年目となる今年、保坂さんは「自分たちで企画することも大事だけれども、信頼できる団体に得意分野を活かして関わっていただくことも大事。人に関わっていただくと人が人を呼ぶ。発信することでだれかのスイッチが入り戻ってくる」と今回の企画について話しました。その言葉どおり、今回は仙台市内のボーイスカウト・ガールスカウトの協力で実施されています。スカウト活動は野外で子どもたちの自発性を大切にして様々な活動に取り組んでいるため、枡江の森での活動や遊びはまさにぴったりでした。
そして5年目を迎えて市民企画員たちは、それぞれに得意分野であるガイドや詩、クラフトなどの創作活動、写真などを活かし、森への思いを形にしています。市民企画員一人ひとりの成長が、 枡江の森魅力発信プロジェクトの成長につながっています。今回主担当として関わった幸町市民センターの青木史子さんは「今後もセンターが寄り添う形でサポートしていきたい。あとに残る活動になるとうれしい」と話しました。
子どもたちの笑顔に大満足!
プロジェクト代表の保坂さんは「5年の事業としては今年度で終わり。何を発信できたか、今後どう発信していくか成果を地域に返していきたい」と話します。続けて「今日の企画は大満足。これからも楽しいことをワクワクしながらやっていきたい」と笑顔で語りました。
森という場所を起点に、市民企画員が集まって始まった枡江の森魅力発信プロジェクト。今後も森の魅力を伝えるために活動は続いていきます。この活動を取材し、森で楽しそうに遊ぶ子どもたちや、森に癒されている大人たちに、森もよろこんでいるように感じました。枡江の森は仙台市内にあり、アクセスしやすいのも特徴です。新鮮な空気を吸いに、魅力発信プロジェクトのみなさんに会いにぜひ訪れてみてください。
この記事はTOHOKU360と宮城野区中央市民センターとのコラボ事業「東北ニューススクールin宮城野」の参加者が執筆した記事です。宮城野区の市民活動を取材した参加者たちが、地域の課題に取り組む人々の活動や思いに迫ります。
*TOHOKU360で東北のニュースをフォローしよう
X(twitter)/instagram/facebook