- 2023年1月20日
【加茂青砂の設計図】「過疎集落」から、若者と描く未来の設計図
【土井敏秀】タヌキが前回、民話の語り口で登場したせいでしょうか。秋田県・男鹿半島の加茂青砂集落は、2023年(令和5年)を迎えると、「にぎやかし」が雪景色に、色とりどりの歌声を、散りばめました。ギターを抱えた歌い手を先頭に、その仲間たちが、声をそろえ […]
秋田県男鹿半島の加茂青砂のハマは現在、99人が暮らしている。人口減少と高齢化という時代の流れを、そのまま受け入れてきた。けれど、たまには下り坂で踏ん張ってみる。見慣れた風景でひと息つこう。気づかなかった宝物が見えてくるかもしれない――。 加茂青砂集落に引っ越して二十数年のもの書き・土井敏秀さんが知ったハマでの生活や、ここならではの歴史・文化を描いていくエッセイです。
【土井敏秀】タヌキが前回、民話の語り口で登場したせいでしょうか。秋田県・男鹿半島の加茂青砂集落は、2023年(令和5年)を迎えると、「にぎやかし」が雪景色に、色とりどりの歌声を、散りばめました。ギターを抱えた歌い手を先頭に、その仲間たちが、声をそろえ […]
【土井敏秀】男鹿半島に引っ越してからの日々を、(確かに見た)ボスザルから引き継いだ視点から見ると、なかなか楽しいじゃないかと振り返れた。途中で投げ出したことを忘れる。悪くない。数多くの生の営みと出合ってきたのだなあ、とあらためて驚く。次から次へとエピ […]
【土井敏秀】男鹿半島・加茂青砂集落に来て、最初に目にした動物は、ここにはいないはずのニホンザルだった。24年前、まだ家が完成しておらず、裏山のふもとで伐根作業をしている時だった。くっきりと、りりしい姿が心に、映像として残っている。大柄、ふさふさとした […]
【土井敏秀】前回の秋田百笑村佐々木義実さんの話を書いている途中、不思議な思いにとらわれた。書き終わりたくない? こんなの初めてだった。最後のしるしの(了)を書き終えたとき、ふだんなら「やったぁ」と、もろ手を挙げるのに、今回は重い足を引きずっていた。ま […]
【土井敏秀】大仙市(旧西仙北町)大沢郷椒沢にある、佐々木義実さん(68)の田んぼは、両側を里山にはさまれている。圃場整備された区画とは違って、くねる谷あいに細長く広がり、山からの「絞り水」が端の用水路に流れている。所有する田んぼは合わせて6㌶(うち0 […]
【土井敏秀】寄り道をさらに伸ばす。教えられた、秋田県大仙市大沢郷百笑村一番地、に向かう。郵便物も届く住所であり「百笑村」は広く認知されている(本名は、大沢郷宿字椒沢=はじかみさわ=130)。男鹿半島・加茂青砂集落から公共交通機関を利用して約3時間20 […]
【土井敏秀】「『空飛ぶカラスか、4つ足ならタヌキ』と、自分で自分を笑っていた。分がるが? 『雑食』ってことへの自嘲だな。何でも食わなきゃ、生きていけなかった」。昭和24年(1949年)生まれの農業畠山富勝さん=男鹿市北浦真山=は、そんな環境の時代に育 […]
【土井敏秀】雨のためライブ会場となった、神社直会殿から聞こえるミュージシャンの歌声、仮設食堂の鍋から漂ってくる温かい香り、なぞなぞの屋台には大人も子供も苦悶する表情が並んでいる。酔って肩を組んで、盛り上がっている男たちの千鳥足……その会場を樹齢400 […]
【土井敏秀】11月初め、誘われて男鹿の隣の潟上市内、旧飯田川町地区にある和田妹川(わだいもかわ)神社境内などを会場に開かれた、「和田妹川豊年万作祭」に出かけた。菊地晃生さん、みちるさん夫妻が運営する「たそがれ野育園」の主催で、地元の人や仲間たちがそれ […]
バス旅は続く バスの座席は17席。それ以上乗った場合でも、吊り輪にすがって立つことはめったにない。途中の営業所でもう1台出してくれる。優しい路線なのだ。この日は途中で1人、2人と増えはしたが、7人以上になることはなかった。バスは乗り継ぎ停留所の「羽立 […]