山形県山辺町の住宅街、近江団地にある小さな公園にフクロウの親子が現れ、団地に思わぬ「福」を呼んでいる。
たちまち地域の人気者に
団地に住む女性によると、フクロウの仲間「トラフズク」が現れたのは7月28日頃。夕方になると耳慣れない鳴き声が響くようになり、地域の話題になり始めた。
その後、団地の真ん中にある公園の樹の上で休むトラフズクの親子5羽がたびたび目撃され、地元の新聞に取り上げられると、たちまち人気者となった。
「いないねえ…」「首が痛くなっちゃう」
お盆休みに入った8月12日も、住民らが散歩の行き帰りに、公園の樹を見上げてその姿を探していた。
「新聞に出てから、遠くから大きなカメラを担いだ人たちも来るようになって…」
普段は閑静な住宅街。住民の中には戸惑っている人もいそうな状況だが、先の女性は「いやいや!」と言って、思わぬフクロウ効果を語り始めた。
「いろんな人が見に来るでしょ?朝から地域の人が公園に集まるようになって、『今日はいますか?』って、今まで知らなかった人と会話が生まれているんです」
フクロウは「福を呼ぶ」縁起のいい鳥とされてきた。近江団地のトラフズクも、その一挙手一投足が地域に笑顔を呼んでいる。
「また来年も、ずっと来てくれたら」
住民が気を揉んだ日もあった。8月4日夜、福島県沖を震源とする地震で、公園そばのスピーカーから防災無線がけたたましく鳴り響いた。
「今ので逃げてしまったのでは…」
肝を冷やしたが、翌日には親子揃って姿を現して皆をホッとさせたという。
「あっ!いた!あそこ!」
樹上を探していた一人が、一羽の後ろ姿を見つけた。瞬く間に10人ほどが集まって、「どこどこ!?」と探し始める。女性は「ね?いつもこんな感じで」と笑いながら「また来年も、ずっと来てくれたら」と目を細めた。