【写真と詩の連載】大きいもの、小さいもの。5

アスパラがあったはずだよ
トマトのよこに

もうあたためなくてもいいよ
ぼくのおくのほう
 

雨で洗う
小さな夜だよ
マカロニがひとつ
テーブルの下に落ちている
 

わかりきっていたことを
話していたはずなのに
いつからか
それは言葉じゃなくなって
終わりから始まってしまう

どうか
ぼくの気持ちに
気づかれませんように

少しでも長く
きみのために
ここにいたいから
 

詩:武田こうじ
写真:日本デザイナー芸術学院写真映像科
pic1 by 菅野海音
pic2 by 松田奈々
pic3 by 菅野海音
pic4 by 菊池春那

【写真と詩の連載】日本デザイナー芸術学院写真映像科 × 武田こうじ
「大きいもの、小さいもの。」
ウェブメディアのTOHOKU360において、クリエイティブな発信ができないかと考えた時、日常の欠片を写真と詩で表現したいと思いました。内容連載タイトルを「大きいもの、小さいもの。」としたのは、日常の欠片、感情の欠片を表現する時、はじまりは小さいことでも、表現するという行為によってかけがえのないものになっている可能性があると考えました。それをウェブでの連載で紡いでいくことで、読者が自分にとっての日常の欠片や感情の断片、この町の一コマが大きいものなのか、小さいものなのか、投げかけていけたらと思ったのです。