緑の多い街並みの仙台では、公園や通りなどで音楽を楽しむイベントが定着しつつある。一方で屋外で楽しめる環境があるからか、市内にはライブハウスが多くあるのに、ライブハウスに行くまでの初めの一歩が踏み出せない若者もいる。そんな人々に魅力を知ってもらおうと、毎年冬に市内のライブハウスで「音楽」と「アート」のイベントを開く団体がある。【阿部えりこ/東北ニューススクール】
「いい音が楽しめるライブハウス、知らないのはもったいない」
「冬の寒さで屋外イベントが少なる時期にこそ、街中に出かけて屋内で音楽とアートを楽しんでほしい」ーー。HiLiNE(はいらいん)実行委員会代表の渡辺智美さんは、そう話す。仙台市中心部で音楽とアートを1日で楽しめる「HiLiNE WiNTER FES(はいらいんウインターフェス)ー仙台まちなか芸術祭ー」を2012年冬から開催。2016年で5年目を迎える。今年は12月16日金曜日、仙台市青葉区で開催する。
イベントを始めたきっかけは、渡辺さん自身、音楽やアートが大好きであること。そして大阪から仙台に移住した時に持った街への印象だ。「アーケード街を中心に、いい音が楽しめるライブハウスが多くあるのに知らない人が多いのは、もったいない。」と感じたという。 そして、「なぜ同じ芸術なのに、音楽とアートのイベントは、バラバラに開かれているのだろう。」とも不思議に思ったのだという。
スタッフが会場まで道案内
音楽やアートに興味を持っているものの、イベントに行くことが不安な初心者にも、気軽にライブハウスやアート会場に来てもらえるよう工夫をしている。その1つが、スタッフが仙台駅まで出迎え、会場まで道案内する試みだ。ライブハウスは仙台駅から徒歩圏内。「SENDAI光のページェント」の会場も近く、ページェント鑑賞もかねてフェスを楽しむ人も多いという。
Twitterやブログ、ホームページなどSNSでの定期的な情報発信もあり、はいらいんスタッフのファンになって会いに来るリピーターもいる。ライブの内容は充実しており、ライブハウスの音の出し方に熟知しているアーティストの演奏を楽しめるため、評判が口コミでも広がっていると実感している。地元のテレビ番組の出演、新聞等への掲載、飲食店などの協賛店にパンフレットを置くこともPR効果があるという。
「音楽やアートをつまみ食いするような気持ちで来てほしい」
音楽会場では、1枚のチケットでロックバンド、ピアノやギターの弾き語り、アコースティックユニットなど多彩なジャンルの演奏を楽しめる。今年の出演アーティストは、セカイイチ、日食なつこ、Mayu ら、総勢8組。音楽会場の近くで開かれる「手づくりアートの物販会」では、ハンドメイドアクセサリー、イラスト、写真等、幅広い作品が並び、アート作家本人と客が直接対話できるのが特徴だ。
渡辺さんは「初めての方も、音楽やアートをつまみ食いするような気持ちで、是非気軽に来てほしい」と語った。
音楽チケットは前売一般2000円、学生1500円(当日は各500円増し)。別途1ドリンク代600円が必要。未就学児は入場無料。アート会場は入場無料。「HiLiNE WiNTER FES 2016」のイベントについて詳しくはホームページ http://hiline.jp/。Twitter @HiLiNEjpでも発信している。