【渡邉貴裕】仙台の沿岸部と街中、沿岸部のまち同士の交流を深めようと震災後から開催されているイベント「3.11オモイデツアー」が、コロナ禍での1年以上の自粛期間を経て7月、仙台市宮城野区の蒲生で再開しました。感染予防対策が施された上で、参加者は屋外で映像の上映会や三輪車のレースなど、さまざまな企画を楽しんでいました。
蒲生の「舟要洞場」に久しぶりの活気
2021年7月18日。30度を超す炎天下の中で、仙台市宮城野区の蒲生は人々の交流で久しぶりに盛り上がっていました。
蒲生は貞山堀(舟入堀)沿いにあり、かつては運河の拠点として仙台城まで舟で物資を調達する役割を果たしていました。また、「日本一低い山」で有名な日和山があり、毎年7月上旬になると「登山」が催されます。
今回のオモイデツアーの会場になったのは「舟要洞場」。入り口のそばには観音様がお目見えになります。2013年頃にやや南側の海沿いに前身である「舟要の館」が建てられましたが、防潮堤の整備により、2019年に移転を余儀なくされました。目的としては持ち主である蒲生出身の笹谷由夫さん(75・多賀城市)は「亡くなった子供たちの供養のために慰霊の場として建てました」と語りました。また、「空と海に願いを込めて」という思いもあります。
夕涼み上映会に夢中になる大人の姿も
「3.11オモイデツアー」は、沿岸部とまちなか、沿岸部のまち同士の交流を深めるさまざまな企画を実施している「3.11オモイデアーカイブ」の活動の一環。団体は2016年に設立されて現在に至っています。蒲生では舟要洞場、荒浜では里海荒浜ロッジを拠点に活動されています。
コロナ禍で開催自粛を余儀なくされた昨年度を経て、今回が久しぶりの開催となりました。代表の佐藤正実さん(57・宮城野区)の声掛けにより新型コロナウイルス感染予防対策を取った上で開催にこぎ着けられ、和気藹々とした交流がもたれました。
さらに、天江真さん(55・泉区)が企画された改造三輪車のお披露目やレースなども繰り広げられました。そして夕涼みの頃には映像の上映会があり、観賞中は夢中になる大人の姿も大いに見られました。
舟要洞場は供養の場としてだけではなく、多くの人が集って盛り上がるコミュニティの場としても役目を果たす様子が見られました。
「今できること」から活動を再開
3.11オモイデツアーは1年以上の活動自粛を経て再開するにあたり、「密を避けるために屋外での活動にすること」と「誰もが気軽に参加できるプログラム」を心がけたそう。まだ感染が収まらない中、「自分たちの力で今できることを」と、「夕暮れシアター」を企画されました。
本来の3.11オモイデツアーのプログラムは、沿岸部の思い出を語り、聴き、かつてのまちのイメージを感じながら交流を図るという内容ですが、再開の第一歩として、まずはお世話になっている沿岸部の拠点に集まろうという意味での開催となりました。
次回は9月に若林区荒浜で催されます。活動情報は3.11オモイデアーカイブのサイトへ。http://sendai-city.net/
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