赤﨑秀平のサッカー人生と、ベガルタ仙台退団後の挑戦

小幡剣斗(仙台大学スポーツ情報マスメディア学科)】新天地を求めて、今年3月にJリーグのベガルタ仙台から退団した赤﨑秀平選手。学生時代から注目を集めたストライカーは、どのような道を歩んで来たのか。そしてこれから思い描くビジョンとはーー。

「プロとの差」と、大学への決断

1991年鹿児島県いちき串木野市で誕生した男の子は4才の頃、近所でよく遊んでいた3つ上のお兄さんの影響を受け、サッカーと出会った。その名は赤﨑秀平。それから彼は、小中学時代に地元クラブチームのパルティーダ鹿児島に入りサッカーに打ち込んだ。

高校は佐賀県立佐賀東高校に進学。その時の活躍が認められ、Jリーグの浦和レッドダイヤモンズからオファーが来ていたが、プロではなく大学への進学を決めた。その背景として赤崎選手は、こう答えてくれた。「実際にレッズ(浦和レッドダイヤモンズ)の練習にも参加して、プロとの差をすごく感じましたし、その時はフィンケというドイツ人の監督だったんですけど、まだ君のレベルだと加入してもすぐレンタルで、他のチームに行ってもらって経験を積んでレッズに帰ってきてほしいと言われたのもあって」

仙台大学で学生たちの取材に応じた赤﨑秀平選手(2022年6月)

プロとの差を受け入れた赤崎選手は、スポーツ推薦で筑波大学に進学。「あらゆる競技の一流の方々が集まるので、そういった人たちと触れ合うのは刺激になりました」。サッカーだけでなくそれ以外のアスリートからも刺激を得た赤崎選手は、4年の大学生活を送り、2014年に鹿島アントラーズへと加入した。

プロの世界で見た景色

「一緒にプレーをして凄かった選手は?」との質問に、小笠原満男選手の名が挙げられた。当時の小笠原選手は、鹿島アントラーズのキャプテンであり、サッカー日本代表としてプレーを経験していた選手だった。赤崎選手は、プロとしての最初の練習で真面目に取り組んでいたつもりだったが、「やる気がないんだったら帰れ」と小笠原選手から言われ、胸を押され外に出されたことがあった。自分にもチームにも常に高い基準を求めていた小笠原選手に対し、「日本代表として長く活躍されていたし、常にモチベーションを保ちながら人にも自分にも厳しい目線で戦っているからこそ周りも信頼するのかな」と感じていたという。当時の赤崎選手にとってプロの世界で活躍する選手の背中は大きかった。

プロにとって大事なことに、クラブとの契約もある。プロとしての契約更新について、基本的に新人は最初は3年契約であることや、赤崎選手は1年目では契約の延長がなかったことを話してくれた。「あと2年で自分はサッカー選手じゃ居られなくなるんだ」と感じた赤崎選手はそれでも前を向き、プロとして2年目のヤマザキナビスコカップ(2015年)でニューヒーロー賞を獲得した。その活躍により、更に3年契約を貰うことが出来たというが、プロとしての厳しさが垣間見えたエピソードだ。

海外挑戦をする中で見つけた、新たな目標

鹿島アントラーズに所属しリーグ優勝や天皇杯優勝など全タイトルを獲得した後は、個人での成長を目指してガンバ大阪や川崎フロンターレなどJリーグのチームを渡り歩いた。そして今年の3月にベガルタ仙台を退団。「仙台(ベガルタ仙台)に来た時点でJリーグで約10年弱生活している中で、自分に飽きてきたというか、同じような生活をしてJリーガーとして生きてる中で自分に飽きてきたので、新しい自分がほしかった」と、赤﨑選手は語る。

今年5月には、自ら計画を立てドイツでの練習に参加。アマチュア時代から何度か海外に行った経験はあったが、これまでと異なるのは、全て自分で決めなければいけないことだった。アマチュア時代は、高校選抜や大学選抜など、団体行動で段取りがある程度決められていた。それが今回は1人での海外進出であるため、段取りや現地のチームとの交渉を自分で決める必要があった。赤﨑選手はその経験をこう語る。

「そこで意思疎通できた時は大きな喜びもあるし、アシストだったりゴールだったり日本で行われることと一緒のことだけど、単純にサッカーと向き合えるし、選手とも向き合えるし、そういう所が少年に返った感覚というか、そういう気持ちになるんだなっていうのが、自分では予想してなかったことがどんどん起きてくるっていうのが新たな経験でしたね」

取材の後、赤﨑選手は海外でチャレンジする中で「生涯を通してやりたい新しい目標が見つかり、それを実現するため、そしてサッカーと良い形でお別れをするために南葛SCを選んだ」と、東京都葛飾区の社会人クラブ「南葛SC」に所属したことを報告してくれた。新しい自分を見つけるために環境を変え、大きな刺激を求め続ける赤崎選手。その名が、再びニュースに取り上げられる日が楽しみだ。

【この記事について】仙台大学スポーツ情報マスメディア学科の学生たちが、地域で活躍するアスリートや指導者らを取材!学生たちが記者となり執筆した中から、3本のスポーツ記事を連載で掲載します。

【今回の記事は…】
取材:仙台大学スポーツ情報マスメディア学科「インタビュー論」受講生のみなさん
執筆:小幡剣斗(同学科3年)
写真:赤﨑秀平さん提供
編集:安藤歩美(同大学講師)

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