【相沢由介(INFOCUS)】1対1の個別指導を行う「個別教室のアップル」では、新型コロナウイルス感染拡大の早期から、オンラインミーティングアプリ等の使用による個別指導のオンライン化を進めてきた。同教室で講師を務める長倉美香さんは、これまで10年間子どもたちの学習に関わってきて、新型コロナウイルスの影響で初めてオンラインでの個別指導を経験した。
「最初は、画面が固まってしまったときにどうしようかと焦っていました。でも、生徒さんも私もお互いに何とか伝え合わなきゃという思いでやっていると、画面が止まってしまうことはあまり問題ではなくて・・・」。対面よりもコミュニケーションが円滑でなくなる分、より懸命に伝えようとする、読み取ろうとする。そのお互いの歩み寄りによって、かえって生徒とのつながりが深くなったという。
授業のオンライン化で、これまで以上の微細なコミュニケーションが可能になった生徒もいた。「大人しい子ほど、よく“つぶやき”が聞こえるようになりました」。オンラインでの指導中、画面から生徒の表情が読み取りづらい分、自然とヘッドフォンに耳を傾けるようになったという長倉さん。「あれっ?」、「なんで?」、対面だと反応がわかりづらかった生徒のふとしたつぶやきや、物言わぬ沈黙が、その生徒の理解度を計る大事な手がかりになった。
「コロナ前と今とで、私の思いや指導の仕方は変わっていませんが、それぞれの子にそれぞれの学び方があるんだということが、今回とてもよくわかりました」。これまでも生徒一人ひとりの個性に合った学び方を常に意識してきた。面と向かって教えるのが合う生徒、横に座るのが合う生徒、近すぎると嫌な生徒もいる。一人ひとりの個性と向き合う、そのためのひとつのツールとして、コロナにかかわらずオンライン授業に可能性を感じたと長倉さんはいう。「生徒さんとの間で、オンラインでしかつながれなかったものがあったかなと思っています。それは、コロナ以前には思いもつかなかったことでした」
「個別教室のアップル」では、今後1対1のオンライン授業と通塾を組み合わせたハイブリッドな勉強スタイルに対応できる環境を整えていく予定。新型コロナウイルス感染症の拡大収束後も、一人ひとりに合った学びの場を提供するために、オンライン授業の可能性も追求していきたいという。
【特集:コロナ時代、仕事に向き合う人々】新型コロナウイルスが猛威を振るう中、多くの人がこれまでとは違う仕事の仕方を模索しています。仕事中の感染リスクに対し、自分の仕事への義務や責任を全うしようとする人、また、選択の余地なく生活のために働き続けなくてはいけない人もいます。私たちはもう、コロナ禍以前の世界に戻ることはできません。経済の停滞も感染リスクもすでに日常であり、その中でそれぞれの人が日々自分の仕事と向き合っています。
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