【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文】筆者が週1のペースで練習に参加しているバンドのリーダーから連絡があり、7月の最終週から8月いっぱいまで夏休みに入ることになりました。メンバーの平均年齢は数えたことがないけれど、確実に60代後半になるはずです。アマチュアで音楽を続けるために、仕事や家庭での役割とのバランスをそれぞれにとってきました。長い休みは少し寂しい気もしますが、体調が思わしくないメンバーがいるのと、ご存じの猛暑が東北でも、ただごとではなくなってきたので、やむを得ないでしょう。
筆者が参加しているバンドはいわゆる少人数編成の「コンボバンド」です。テナーサックスとアルトサックスが2人ずつと、トランペット1人にリズム隊(ギター、キーボード、ベース、ドラム)の編成です。週1回の練習日を軸に、ジャズ中心に取り組んでいます。若いころは地域のイベントや大きな音楽イベントにも出ましたが、ここ20年ほどは、行事を組むこともなく、練習日に集まって合奏するのを最大の楽しみにしています。ジャズフェスなど、恒例の秋の音楽イベントなどにも出ることがなくなって久しいので、その気になれば長期の休みがとれるわけです。
アマチュアで音楽活動を長く続けるには仕事や家庭との両立をはじめとして、いろいろなこつがあるものです。それにしてもわがシニアバンドは1か月超の夏休み。メンバーの表情を見ながら思い切った手を打つのは、さすがに経験豊富と言っていいかもしれません。
2020年1月以来、4年半にわたって仙台発のネットメディア「TOHOKU360」に連載してきた「仙台ジャズノート」「続・仙台ジャズノート」では、プロおよびプロ志向の強い演奏家だけでなく、非常に多様なアマチュアの活動にも取材対象を広げてきました。第11波に相当するコロナの再流行も懸念される中、他のアマチュアのみなさんはどう工夫しているのだろうかと思いますが、長い間ジャズ音楽を楽しんできたのに、自分が住んでいる地元の動きは案外見えないものです。
「練習は毎週土曜日の夜。週1の練習に出ないでついてこれるほど、いい加減な音楽をやっているつもりはない」
「集まってくるメンバーたちが飽きないように、2カ月に1回はギャラの出る仕事を持ってくるのがバンマスの仕事です」
これらは取材で知り合ったビッグバンドのリーダーの言葉です。タイミングが合わなかったとはいえ、猛暑対策やメンバーの健康管理について聞いていないのは我ながらうかつです。
さて「夏休み」です。この時間を利用してアルトサックスの練習をどう組み立てるかが筆者の課題です。連絡を受けて最初に感じたのは、避暑気分でした。週1のペースで動いている用事が一つ休みになるだけで、ひと休み感が大きいのは、やはり加齢のせいと言えないこともありません。浮いた時間の分を、何に回そうかと、早くも頭が回り始めています。一向に輪郭の見えないサックス修行を続けるのはもちろんですが、サックスに集中するため「いったん休止」してから7年になるドラムを復活させようかと、何となく浮ついた気分も広がります。趣味・道楽の気楽なところです。
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