【続・仙台ジャズノート#135】マイカーのないジャズライフ

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文】いろいろ考えた末に1978年以来、46年間乗り継いできたマイカーを手放すことに決めました。加齢に伴い、いずれ必要になる判断の一つです。その結果、60代半ばで始めたアルトサックスは、楽器や譜面台、楽譜などを抱えて自分の足で移動する機会が増えることになります。近隣騒音の原因者にならないようにマイカーを主な練習場所としてきたので、今後はどこで練習すればいいのか、悩ましい問題もこれあり、です。

マイカーを手放す理由はひとえに事故を起こすリスクをなくすことです。73歳という年齢に何か具体的な問題があるわけではないのですが、車を自在に動かせるメリットよりも、「運転が何となくおっくう」になっているのを自覚します。後期高齢者(75歳以上)になると、運転を継続するための講習を受けなければならないなど、本人の思いとは別のところで負担が生じるし、何と言っても万一、事故でも起こそうものなら周囲に大きな迷惑をかけます。3カ月ほど前から、マイカーを使わず、移動は公共交通機関と徒歩で行う「実験」を繰り返してきました。年を重ねるなかで趣味・道楽を安全に続けるには、いずれ避けては通れない問題でもあります。

アルトサックスを抱えての移動は、なるほどばかにはなりません。筆者の場合、40年以上一緒にやっている仲間が大崎市にいて、週1回の練習スケジュールを入れてあります。マイカーで通っていたのを、高速バス(仙台-古川)で移動できるかどうかためしてみたところ、片道料金は1000円ちょっと。所要時間は約1時間。古川駅から練習場近くのバス停までは「1乗車100円也」のコミュニティバスの乗り継ぎも含めてほぼ問題なし。高速バスの車内でゆっくりした時間を過ごせる往復2時間がとれるおまけつきです。

仙台市泉区にある日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)の『パフォーマンス広場』。音楽やダンスなどのプレイヤーたちが楽しそうでした。

ただし、練習場から古川駅前までは、中途半端な時間帯でコミュニティバスがないので、帰途はバンド仲間が車で送ってくれます。この点は好意に甘えます。いざというときは30分弱歩けばバス停までたどり着けることを既に確認済みです。楽器が重いけれど・・。

音楽関係のイベントは宵っ張りなので、公共交通機関ではこなせない不安もあります。この点も実地に確かめました。取材やライブ鑑賞など、イベント参加を途中までにすればほとんど問題はありません。その方が体力的にも負担が少ないので、おそらく身のためでしょう。

マイカーを手放すことによる影響がより切実なのは、練習場の確保問題です。サックスは音が大きいので自宅マンションでは練習できません。公園や空き地を利用させてもらうにしても、やはり騒音問題には慎重に対応する方がいいので、これまではマイカーを適当な場所に移動し、即席の練習場としてきました。狭い車内。どうしても姿勢が悪くなるというデメリットもあります。

学生のときから楽しんできたドラムがずっとそうだったように、どこか適当なスタジオやカラオケボックスなどを借りれば済む話ですが、何と言っても財布への負担はなるべく少なくしたいところです。楽器のメンテナンスに備える必要も感じます。

だいぶ早いころに試験的に試してみた、河原や公園での練習や、自由利用可能な公的施設の利用なども再検討中です。自由利用可能な施設は、住んでいる区とは別の区にあるので、先日、あらためて様子を見てきました。バス、地下鉄を乗り継ぐ必要があり、移動の問題も絡んできます。妙案はなかなかない、と分かっていてなお模索中です。

*この連載が本になりました

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