【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文】仙台市泉区の青年文化センター(日立システムズホール仙台)のフリースペースで、練習するようになっています。昨年末から通い始め、やっとペースが分かってきました。長い間、もっぱらマイカーを『練習場』としてきましたが、同センターでは、さまざまなジャンルの演奏者たちが練習に打ち込む様子を肌で感じることができます。同じフレーズを入念に何度も繰り返す。音を出すこと自体難しそうな音域にひたすら取り組む。複雑なパートを3つのグループで鮮やかに吹きこなす若者たちなど、新年のフリースペースは、耳を傾けているだけでも楽しい。
若者だけでなく、明らかに筆者と同世代の人たちも課題に取り組んでいます。筆者の場合、中・高校生時代に培った「運動部体質」がまだ有効らしく、地道に長く続けることに抵抗はありません。とは言え、何をするにしても、残された時間が気になる年齢に差し掛かると、「それで目標は一体何なのか?」と自問することが実はしばしばです。
音楽理論の精密さといったらあきれるほどだし、実技の習得では、河原で石を積むような地道さが求められます。肝心の「ジャズとは何か?」といった根源的な問題でも多様な意見があります。多様性や自由さを軸とする独特の世界は実際に経験しないと実感できないかもしれません。
先日、筆者の楽器が年代物なのを見たシニアが「年季が入っていますねえ。自分も、早くそういう楽器を思う存分に吹きたい」と話しかけてくれました。図らずも過大な目標と向き合っているかもしれない、同世代との交流がじんわりと広がるのもまたうれし、ということになります。
毎年のことですが、新しい環境に気持ちをなじませながら、今後の課題を洗い出してみました。昨年1年間はコードの構成音を使えるようにする練習を最優先にしていました。加えて今年はオルタード、ペンタトニック、ブルース、ビバップなど、各種スケール(音階)の活用にもゆっくり、じっくり取り組みたいと考えています。どちらかというと、コード進行よりも、スケール練習から入ったクチなので、中途半端になっていた練習を再開する感じです。焦らず、楽しみながら、じっくりと、でしょうか。
年末年始の空き時間を利用して、以前から気になっていたYouTubeのコンテンツについてあらためて考えてみました。YouTubeには確かに大量のコンテンツがあって、何でも手に入るように見えます。でも、自分が目指しているジャズ志願、特にアドリブ志願に役立つ情報として、どんなものに期待できるのか。どんな優先順位や心構えで接すれば効果的なのか。手当たり次第に聴いたり、見たりするだけでは、頭でっかちになるだけで、肝心の実技が伴いません。
いわゆる「YouTuber(ユーチューバー)」といわれる人によって、その主張や伝えたい事柄に違いがあります。ネット時代のジャズ志願者の一人として多くのYouTuberの思いや主張に耳を傾けること自体、参考になるのは間違いありません。
一方、知識や技術、経験が圧倒的に不足している場合、自分の知識や技術レベルとかけ離れたところですべてを理解しようとしても、事実上、無理です。無理して突っ込んでも、実態にそぐわない知識だけが広がり、混乱の原因になることもしばしばです。よくて消化不良、一つ間違うと、とんでもない不具合に見舞われることがないわけでもありません。その意味でジャズ志願にとってのネット利用はまだ未知の世界でもあります。
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