【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】「リスナーのみなさんのジャズ恐怖症が消えればいいですね」。菊田邦裕さん(29)はインタビューの最後をそう締めくくりました。菊田さんはジャズをルーツとするプロのトランペット奏者として10年。多様なジャンルの音楽とのコラボレーション(連携、共同作業)を得意とする演奏家です。インタビューでは「ジャズ音楽は難しい」と感じている多くのリスナー、特に楽器演奏を楽しんでいる人を意識しながら菊田さんの「うたごころ」の鍛え方、基本的な練習方法まで聞いています。授業料も払わずに・・。ちょっと厚かましかったかもしれません。2回に分けてお送りします。
菊田さんの言葉通り、確かにジャズ音楽は難しいと言われがちですが、たとえば以下に紹介するYouTubeのケースはどうでしょう。ピアニストのジェイコブ・コラー(Jacob Koller)さんと菊田さんが山形市内で路上コラボした事例です。ルイ・アームストロングの世界的なヒット曲「What A Wonderful World(この素晴らしき世界)」を取り上げています。出会ったばかりの二人のミュージシャンが刺激し合い、その場限り、オンリーワンの音楽を作り上げる様子をぜひお聴きください。https://youtu.be/GVG-aKisi4I
菊田さんはよく「人が歌うように楽器を吹きたい」と言います。「自分は子どものころから歌うのが好きで、車の中で昭和歌謡を歌っているような子どもでした。両親の影響で、ポピュラーもよく聴いていて、ロバータ・フラックが好きでした。アーティストの特徴をつかむのが得意で、桑田佳祐はこう歌うんだよね、なんてやっているうちに、トランペットでリー・モーガンやマイルス・デイビスなどのフレーズをまねするようになっていました」
自分の心に忠実になりながらリスナーを感動させるにはもう一つ重要なポイントがあるそうです。「それはリジェンドの演奏をちゃんと聴くことです。『ちゃんと聞く』のは案外難しい。誰かのソロを聴いてコピーしても、単に音の並びが合っているだけでは十分ではありません。音と音の間がどうなっているかがとても重要です。
たとえば美空ひばりさんの『愛燦燦』。「タンタン」と二つの音が並んでいるとして、美空ひばりさんの歌は音と音の間に、さらに何かがあります。人の歌と同じように管楽器は息を使う楽器です。その特性を徹底することでひばりさんの歌の特徴的な節回しを可能な限り再現してはどうでしょう。人の心を動かす音楽になるはずです。音は単体で動くのではなく、つながりで動いていく。だからたとえばサックスなら『ポルタメント』というんですか?音がきれいに移り替わるような技法。そんなことも、鍛え、使えるようにしながら表現力を高めていく必要があります」(次回に続きます)
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
これまでの連載はこちら
*TOHOKU360で東北のニュースをフォローしよう
X(twitter)/instagram/facebook