【続・仙台ジャズノート#67】ネットも楽しいけれどジャズはやはりライブで。

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】前回の報告でコロナ禍を乗り越えるためのネット活用が演奏家の間で一気に進んだと書きました。ジャズの聴き手にとっても、うまく使えばいい環境になりつつあるのは間違いありませんが、ジャズ音楽の場合、演奏の現場だからこそ聴こえたり、見えたりすることが多いものです。先日夜、仙台市青葉区のジャズバーで行われたライブを例に、ジャズとライブの関係をあらためて確認してみます。

この日のライブに出演したのはサックス奏者、勝部彰太さんをリーダーとするグループです。田辺正樹さん(ピアノ)、勝本宣男さん(ベース)、村上晶星さん(ドラム)のリズム隊が質・量ともにバランスがよく、いわゆるワンホーンカルテット(四重奏)の楽しさを十分、味わうことができました。サックスの生音が気持ちよく響いていました。

何と言ってもジャズは現場から生まれる音楽。ジャズライブを本当に楽しむなら、サックス奏者が演奏するときに鳴るキーの音(カチャカチャと鳴ります)が聴こえるぐらいの距離であることが望ましい。演奏中にメンバーが互いに視線を交わす様子が分かる場所であることも必須。メンバーの表情がさまざまに変わるのを見逃すようではもったいない。少なくともリーダーの表情はしっかり押さえたいものです。

ワンホーンジャズの楽しさに満ちていた勝部彰太カルテット=2023年5月26日夜、仙台市青葉区のジャズバー「モンドボンゴ」で=写真提供は勝部彰太さん

ジャズ音楽の魅力の一つであるアドリブ(即興演奏)も、演奏者の表情をしっかり確認できれば、より面白い。ジャズの場合、事前の打ち合わせをあえて軽くすませる場合が多いので、曲によっては演奏中にメンバーが予想しなかったタイミングや展開になることもあるのですが、そんなときに誰が引っ張るかもジャズライブならではの見もの、聴きものです。

勝部さんのグループの演奏は、いい意味で、ジャズライブ、特にこじんまりとした会場ならでは魅力を見せてくれました。この日のドラムは初めましてのドラマーさんでした。1曲目からマレットを使うスタイルだったので、スティックでジャズビートをガンガン響かせるのを勝手に期待していただけに、正直、あれれ?と思ったものですが、それは最初だけ。特に、最低音域を受け持つバスドラムとピアノの左手が打ち出すリズムとの絡みが小気味のいい演奏でした。ジャズライブは聴き手の方も、さまざまな発見を楽しむことができます。

DOMINO THEORY/ WEATHER REPORT ドミノ・セオリー/ウェザー・リポート

【ディスクメモ】世界的なブームとなったジョー・ザビヌルの「ウェザー・リポート」がリズム中心にメンバーを一新。ニュー・ウェザー・リポートが1984年に発表したアルバム。ニューグループとしては第2弾。ウェザー・リポートとしては14枚目だそうです。

電子系のサウンドがあまり得意ではないのにウェザー・リポートを聴き続けたのは、ウェイン・ショーターの音色が電子系のサウンドのきっちり感をジャズっぽく修正してくれるからです。デジタルサウンドの音楽を聴く際に、今でもかすかに響くアナログなニュアンスを求めて、耳を澄ます癖はこのグループを体験したことによるものです。

この作品にはショーターのオリジナルが2曲。「プリデイター」と「スワンプ・キャベッジ」を中心に今夜も「ショーターを探せ」大会の開催だ。オマー・ハキムを最初に聴いたときは軽業的だなあと思ったものですが、今でやとっくにジャズのど真ん中ですね。

ZAWINUL:keyboards               
WAYNE SHORTER:sax
OMAR HAKIM:drums
VICTOR BAILY:bass
JOSE ROSSY:percussion
CARL ANDERSON:vocals

以下、曲順はレコード盤です。

▶Side A

  1. CAN IT BE DONE
  2. D FLAT WALTZ
  3. THE PEASANT

▶Side B

  1. PREDATOR
  2. BLUE SOUND NOTE 3
  3. SWAMP CABBAGE
  4. DOMINO THEORY

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

これまでの連載はこちら

*TOHOKU360で東北のニュースをフォローしよう
X(twitter)instagramfacebook