【続・仙台ジャズノート#77】音楽で地域を盛り上げる、アマチュアだからこその楽しみ

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】2023年8月6日、縄文早期から中期にかけての集落跡などが見られる山前遺跡公園(宮城県美里町)の夏祭りで、アマチュアのビッグバンド「304&MA」に潜り込んで演奏してきました。縁あって「トラ」(代役、エキストラの略)を務めました。学生時代以来のドラムでは経験がありますが、まだ(もう?)7年になるアルトサックスでは初めてのこと。一度だけ音合わせに参加して譜面をもらってきました。事前の準備に時間をかけずに自分がどの程度演奏できるかを確認する絶好の機会でした。

アマチュアとして長い間、音楽活動を続けていると、好きな音楽を仲間と一緒に演奏できる喜びはもちろんですが、活動の成果を人前で披露するのが大きな目標となります。その形はさまざまです。仙台中心に活動していると、年に数回ある、いわゆる大規模な音楽イベントへの参加を目指す方向があります。定期演奏会や自主ライブの形式で客に聴いてもらうスタイル、別のバンドとの競争関係を模して開く「対バン」ライブなど、それぞれのグループが置かれた状況に合わせて多様なシナリオが考えられます。

個人的にはこうした自前のライブとはひと味違う訪問演奏の形が気に入っています。アマチュアはプロほどには対価を追求しないので、発想を柔軟にすると、施設で暮らす人たちにつかの間、音楽を楽しんでもらったり、地域のまつりやイベントを盛り上げる役割を買って出たりするアイデアが出てきます。ひと昔前なら「慰問」といったかもしれませんが、実際は、「慰問」に行ったはずなのに、逆にこちらが励まされて帰ってくるので、最近はあまり使わないかもしれません。むしろボランティア演奏なら実態に合うかもしれません。

孫世代の小学生たちが耳を傾けてくれたビッグバンド「304&MA」のコンサート=2023年8月6日、宮城県美里町で。そう言えば孫たちに演奏をライブで聴いてもらったことはないなあ。

地域の小さなイベントを支援するスタイルがあります。かつて別のコンボバンドでしょっちゅうやっていたように、小型のトラックにアンプ類や楽器を山と積んで、小さな町や村を回る「旅巡業」が理想的な形です。仙台では、ここ2年ほど活動が目立っているあるビッグバンドが地域の公民館や市民センターと協力する形の演奏活動をよくやっています。どなたかそういうセンスや人脈の人がいるんだろうな、と感心しているところです。

「304&MA」の「MA」は「MUSIC  AGAIN」の略だそうです。「音楽を再び」といった意味でしょうか。「304」はかつて練習場に使っていた蔵のかぎの番号だそうです。この日準備した曲は「ジブリ・コレクション」「おさかな天国」から「川の流れのように」「ON THE  SUNNY  SIDE  OF  THE STREET」、桑田佳祐の「HOTEL PASIFIC」など8曲。

好きだからこそ続くアマチュア活動なので、どうしても自分たちが好きな曲を優先させがちですが、夏祭りに参加する子どもたちや高齢世代にも配慮するあたり、地域への密着度と長い年季を感じさせました。

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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