【写真連載:女川ぐらし】アマチュア写真家の福地裕明通信員が、単身赴任先の宮城県女川町での暮らしを写真で綴る連載「女川ぐらし」。女川町のいまの日常風景を、生活者目線でお届けします。
【福地 裕明】2017年7月、社命転勤で女川町ぐらしとなった。齢50過ぎての初の単身赴任だ。
東日本大震災の津波によって大きな被害を受けた女川町。しかし、復興に向けた取り組みはどの自治体よりも早かった。
震災前はさほど訪れたことのないまちだったけど、なぜこの小さなまちが「復興のトップランナー」として全国的に注目されるようになったのか気になって仕方がなかった。ほかのまちと何が違ったのか、その理由を自分の目で確かめてみたくなり、女川への異動の希望を出すようになった。ようやくその願いが震災6年後に叶って現在に至っている。
早いもので、女川ぐらしも3年半が経過。職場では古株となった。その間、私は2つのことを心がけてきた。ひとつは、できるだけ女川に住む方々と接すること、もうひとつは、女川での日常を撮り続けることだ。
前者はまさに、自分の異動希望の理由を探るためだ。せっかく縁あって女川で暮らすことになったわけだから、色んな人に出会って直接話を聞いてみようと。
後者は、何気ない日常を撮るという趣味というか、日課の延長戦。女川の復興状況を撮るというよりは、身の回りの雑多なことに目を向けた。そんな女川撮影日記は、野良猫たちとの遭遇から始まった…。
住まいの単身寮は、まちの中心部からクルマで約30分、2つの海水浴場(震災後から遊泳禁止継続中)には歩いて約5分となかなかの好環境。職住近接でオーシャンビューという、不動産屋の広告であればなかなかの好物件だ。
暮らしはじめたのが梅雨明けの頃だったこともあり、出社前に浜辺に出て波の音を聞くのがとても心地よかった。そんな時に、単身寮と浜辺の間にあった仮設住宅で子猫たちに出会ったのだった。
あまりの可愛さに、猫たちを撮ることも出勤前の日課になってしまった。
はじめの頃は、カメラを向けてもそっぽ向かれてばかりだったけど、徐々に近付けるようになった(子猫はどうしてもダメだったけど)。まあ、餌がもらえないって分かると、露骨に態度を変える猫もいたけどね。
そう言えば、サザエさんのオープニングの歌詞そのもののシチュエーションに出会ったのも、この頃だったなあ。
これからも、こんな風に女川ぐらしの中でちまちま撮影したものを紹介しますので、どうか末長くお付き合いのほどを。