ビジネスプランを2日で磨き上げる 東北大学StartupGatheringが開催

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【PR記事】新しい生活様式が定着しつつある2020年秋。東北大学スタートアップガレージ(TUSG)のさまざまな講座がオンラインで開かれている中、昨年に続き第2回となる起業家・投資家・経営者の合同経営合宿「STARTUP GATHERING 2020」が9月20日・21日に開催された。

参加者らが蔵王町へ足を運んだ昨年と異なり、今年は完全オンラインの「合宿」となった。起業している、または起業を目指す参加者がピッチ(投資家へ向けた簡潔なプレゼンテーション)を行い、メンターを務める投資家や経営者と1対1の議論、さらにブラッシュアップを行い2日目の決勝ピッチに臨む、ハードかつ実践的なビジネス合宿だ。

東北大学発の起業が増えつつあり、12月の同大ビジネスコンテストも控える現在、メンターの一人である株式会社TBAの市川大樹さんは、参加者のプランの精度が昨年よりレベルアップしていると感じていたようだ。青木孝文副学長のオンライン視聴参加も、同大全体の関心の高さを物語っている。

評価基準は「投資してもいいか」。決勝で賞を勝ち取った4人のプレゼンを紹介する。

グロース賞:経済学部3年 加藤秀哉さん「孫を身近に感じられる祖父母のためのiotぬいぐるみ」

加藤さんのサービスは、コロナ禍で孫に会うのが難しい祖父母に、オンラインでは補いえないふれあいの感覚を提供するIoTぬいぐるみだ。技術自体はシンプルで、孫と祖父母それぞれぬいぐるみを所持し、どちらかがそれで遊ぶと連動してもう一方も動き、リアルタイムで存在を感じられるというものだ。

1日目のピッチは課題から今後の予定まで簡潔にまとめ、「つながり」を提供することの付加価値を訴えた。わかりやすいが、裏を返せば無難な内容にとどまっていたともいえる。

しかし2日目、改善を加えたピッチは劇的な変化を見せる。タイトルに「人のぬくもりを再現可能な」と盛り込み、商品の具体性が増した。また、ふれあいへのニーズや「触覚」を表現するコミュニケーションツールの優位性に関する説明が加わり、「祖父母にとって孫は非常にかわいい存在であり、人のぬくもりを感じられる世の中をつくりたい」とまとめた1日目に比べ、ビジネスの文脈がはっきりした。

さらに印象的だったのは、この需要に目を付けたきっかけである「小さな弟と祖父母がなかなか会えない」ことへの気持ちが明らかにされたことだった。動機の強さが伝わり、全体に説得力が増した。審査員のコメントに「学生のピッチは感情が先行しがちだが、東北大生はロジックが先行する傾向がある」という発言があったが、加藤さんの改善はまさに感情をのせたことで実現したのだろう。

メンターの山下翔さん(株式会社経営共創基盤 マネージャー)は、ものまねを交えて笑いをとりつつ「ビジネスのロードマップの段階ではなく、コンセプトの段階だったのでそこを強化した」と振り返る。その中でも、祖父母と弟への思いはやはりポイントだったようだ。

3位(優秀賞):農学部3年 春日幹雄さん「オンライン数学克服塾MeTa」

春日幹雄さんは、数学の苦手克服に特化したオンライン塾を紹介、すでに事業化している。生徒、講師を獲得し運営を行っているだけあって、地に足のついた説明を進めた。

今後AI人材の需要増加などに伴い、数学の必要性はますます高まると想定。一方で種々の調査から数学は小中校生の苦手科目トップであり、大学生でも「数学ができれば文系ではなく理系に進学していた」と苦手意識を感じる人は少なくないことを確認した。

同塾では指導法として、一方的な講義ではなく問いかけを重視する「ソクラテス・メソッド」を採用し、東北大学など「旧帝大」の学生が講師を務める。今後の目標として、具体的な売上と中学受験市場への進出を掲げた。

ここから何を改善するか。2日目のピッチでは、現実的ながらよりスケールの大きい展望が示された。マッピングにより競合優位性をより明確にするとともに、中高生に限定しないビジネス展開を打ち出した。

全体像を見直し、改めて「ビジョン」を設定。メンターの広岡一実さん(株式会社グロースハックスタジオ 代表取締役)は、事業が成立しており金融機関などからの資金調達も整っているが、成長のカギとなる「エクイティファイナンス」の視点が欠けていたと解説。「春日さん自身がアピールポイントを絞り切れていない」(山下さん)と厳しい指摘もあったが、事業をどう継続・拡大させるかの建設的なコメントや質問が相次いだ。

2位(優秀賞):工学部4年 高橋佑生さん「情報機器利用時の姿勢矯正アプリケーション inte-glass(インテグラス)」

「我々人類が得たもの、それは頸椎のカーブです」。印象的な一言から始まった高橋佑生さんの商品は、PCやスマートフォンを姿勢良く使うために眼鏡に取り付けるアプリ連動デバイス「インテグラス」だ。人類が重い脳を支えるために進化の過程でせっかく手に入れた「頸椎のカーブ」を、皮肉なことに技術の進化に付随して失おうとしているという引きの強い導入から、現代の誰もが悩む課題に切り込んでいく。

眼鏡に取り付けるデバイスが姿勢の良しあしを感知し、姿勢が悪いとPC画面が赤くなる。普段眼鏡をしない人にも使えるよう、度数のないブルーライトカット眼鏡用も開発予定だ。姿勢が良くなると通常の画面に戻るため、姿勢の悪さに気づくだけでなく、自分から適切な姿勢をとりやすい。

海外の同様の製品は首の傾きのみを検知する仕組みで、首の角度が維持されたまま画面に顔が近づくといった姿勢の悪さに反応し得ないデメリットがあるという。テレワークが普及し、PC作業時の姿勢や肩こりなどに悩む人が増えている今、投資側からの注目度も高い。

改善を経た2日目は、1日目には言及しなかったビジネスの展望がまとめられた。直接商品の販売を拡大していくのが第一段階、それによって得られたデータの活用を考えるのが第二段階だ。

高橋さんは、「新しいものを作りたいから工学部を選んだ」という。ゼロイチゼミではこれまで接点の少なかった経営者や投資家からのアドバイスが新鮮だった。メンターの高野秀敏さん(株式会社キープレイヤーズ 代表取締役)は、自身も肩こりに悩んでいるといい、「研究だとスパンが長すぎて事業に適さないこともあるが、予防医療につながる商品として社会実装できるスケールなのがいい」と称えた。

最優秀賞:工学研究科1年 石井晴揮さん「AI-R for the Future」

2019年に株式会社Adansonsを設立した石井晴輝さん。投資家の審査員を前にしながら、「今は資金調達ではなく課題設定に取り組んでいる」といい、1日目のフィードバックをもとに2日目を構成するという戦略をもって臨んだ。

大量の情報を学習するAI(人工知能)について回る課題である「誤学習」。データの分類が不適切だったり、データ自体に過不足があったりすると思うような成果を得られないが、当社の「参照系AI」は人間の認識に近い学習で不要な情報に惑わされないのがユニークポイントだ。

昨年の資金調達を経てプロトタイプ(試作)を行い、さらなる進展に向かう段階だ。2日目は参照系AIの説明のスライドの図を増やすなどして見やすくし、簡潔にまとめていた今後の展望を詳しく言語化した。

メンターの福田敦史さん(アイリス株式会社 取締役CTO)は、AIは顧客ごとのデータを学習する性質上、通常は応用しにくいのに対し、参照系AIはルールにアプローチするため汎用性が高いことが強みだと分析する。石井さんは「講師陣が昨年のことも覚えていて、継続的な視点の大量のアドバイスを浴びられるのがメリット」だと語った。

集中的なブラッシュアップでビジネスを力強く

STARTUP GATHERINGに臨んだ参加者は、いずれも意欲的なピッチを披露したが、1日目から2日目のブラッシュアップには目を見張るものがある。1週間、1カ月かけてもおかしくない改善を集中的に実現できるのは「合宿」ならでは。

zoom開催のため、参加者はリアルタイムでコメント欄を見ることができる。時折青木副学長から鋭いコメントが飛び、審査員がうなる場面もあった。

12月19日(土)には、東北大学ビジネスプランコンテストVol.4が開催される。zoom開催で、視聴は誰でも可能だ。

仙台で起業やビジネスへの挑戦の機運は、確実に高まってきている。オンライン、オフライン問わずこの流れが続くことを期待したい。

12月19日(土)、今年の集大成ともいえるビジネスプランコンテストがオンライン開催される(詳細はリンク先へ)
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