台湾で流行中の「サップ」で、宮城の自然の魅力を発信する台湾人

【邱文心】台湾出身で宮城県石巻市に在住8年目の吳佳儒(ウージャールー)さんは、台湾で流行中のウォータースポーツ「サップ」を通じ、地元の人も知らない宮城県の自然の魅力を国内外に発信している。4言語でサップツアーガイドをするウーさんに、なぜサップガイドになったのか、そしてコロナ禍でどんな変化があったのかを伺った。

宮城県で4カ国語対応のサップツアーを始動

ウーさんは2013年、台湾で知り合った日本人奥様と一緒に来日。最初は日本文化に馴染めず日本語も得意ではなかったので、仕事探しに苦労した。台湾で建設業の経験があったので、ようやく建設関係の会社に勤めることができたが、職場でつらいいじめを受けた。「日本の職場文化に適応できないことがわかり、自分でしかできないことを考え始めた。そして辿り着いたのがサップガイドでした」

ウー ジャールーさん

SUP(サップ)とは「Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)」の略称で、ハワイ発祥のウォータースポーツだ。ボードの上に立ち、専用のパドルで漕いで海や湖などの水面を進んでいく。

元々台湾でサーフィンとサップをしていたウーさんは、日本でも趣味として続けてきた。2018年には、ISA世界大会のサップサーフィン台湾代表選手に選出された。自分の将来に悩んだ結果、得意のサップ活動に光を見出し、訪日外国人に向けのアクティビティ体験「野遊YAYU(ヤユ)」を2019年からスタートした。

サップを漕ぐようす

近年、東北の外国人観光客が増えたが、2年連続(2018年、2019年)で最も多かったのは台湾からの訪日客だ。東北で多言語対応できるサップツアーが滅多にない中、ウーさんは台湾語、中国語、英語、日本語で多言語対応できる。ウーさんは外国人向けのサービスを整えている最中、未曾有のコロナ禍に見舞われた。

日本政府は、2020年4月3日から入国拒否の対象を台湾を含めた73地域とした。海外旅行者からのキャンセルが相次いだため、ウーさんは4月の時点で、今年は外国人向けのサービスが再開できないと判断し、日本人を対象とするサービスに急いで方向転換した。

日本人との付き合いは今年のサプライズ

ウーさんのサップガイドの特徴は多言語対応だけではなく、長年のサーフィン経験を活かし、サップに必要な海に関するさまざまな知識を教えてくれることだ。「サップはとても簡単なスポーツなので、私のところに来てくれるお客様に、ただの体験ではなく、サップのプレイヤーになってほしい。私がいなくてもお客様一人でも楽しめるようになるために、海や天気に関する知識を教えたい。そのため、少人数でひとりひとりと交流できる環境を作りたい」

近年の台湾では「インスタ映え」するスポーツとして、サップブームが起きつつある。サップの写真は、綺麗なポーズ、海、景色を同時に映すことができるため、特に若い女性の間で流行しているのだ。「サップガイドを始めた時、台湾での『インスタ映え』のブームを見て、goproだけではなく、一眼レフ、ドローンなどの撮影機材も必要だと思い、すべて購入しました」

ウーさんがドローンで撮った写真

ドローンを持っているサップガイドはとても珍しく、サップの知識はもちろん、インスタ映えする写真撮影を求めてウーさんの元を訪れる日本人も増えてきた。

「事業を始めたときは日本人向けサービスを積極的に提供するつもりはなかったのですが、日本人のお客様から好評な意見がたくさん来て本当に嬉しかった。コロナの影響で一時苦境になりましたが、日本人との付き合いは自分にとって今年のサプライズ。ただ日本語を話せない外国人観光客に教えるだけではなく、多数の日本人リピーターのおかげで、自分が提供できる価値を今年中に再認識できました」

サップを通じ、地域の魅力を再発見してほしい

「サップはまだ発見できない風景を見つける可能性がたくさんある。特に宮城の海は本当に綺麗。松島湾の景色だけで、見きれないほど。一回松島で仕事している方が体験したとき、『毎日ここで働いているのに、こんな景色を見るのは初めてだ。とても感動した』と言われました。地元の人でも意外に自分が住んでいる場所の魅力を知らなかったりする。もっとサップを通して楽しんでもらいたい」

サップしながら普段見れない景色を楽しめる

サップはスポーツであり、観光でもある

「マリンスポーツとしてはサップはとても簡単で、初心者でもすぐ楽しめます。そしてボートの上からしか見れない美しい景色や、その場所の新しい魅力を発見できる。スポーツでも観光でも、新たな選択肢を提供したいですね」

初心者サップは12月まで受付できます。問い合わせはHPへhttps://www.yayusup.org/

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